秋の夜、灯してくつろぐ
住まいのあかりのつくり方

日が傾くにつれ、私たちの体は自然と休息へ向かう準備を始めます。そんな移ろいの時間に寄り添うようなあかりの演出で、より穏やかで心地よい空間へと整えましょう。
照明を選ぶ際に意識したいのは、「光の高さ」と「光の色」。特に、目線より少し低い位置からやさしく灯る光は、夕暮れの静けさを思わせ、心をゆるやかに落ち着かせてくれます。
そして、光の色は"電球色"がおすすめです。夕日やキャンドル、暖炉の炎を思わせるような、赤みを帯びた温かみのある色合いは、安心感をもたらし、眠りへの導入を穏やかにしてくれます。

まずは、お部屋全体を均一に明るくするのではなく、必要な場所をしっかりと照らすことから始めましょう。
たとえば、ダイニングテーブルの上や、ソファのそばなど、あかりのスポット＝"あかりだまり"をつくります。その周囲にはあえて少し暗がりを残すことで、空間にやわらかな陰影が生まれ、落ち着きのある雰囲気が広がります。
全体を明るくしたい場合は、あかりだまり同士がやさしく重なり合うように配置すると、空間全体がふんわりと包まれるような印象に。一方で、より静かで趣のある空間を演出したいときは、あかりだまりの間隔を少し広めにとり、光と影のコントラストを楽しむのもおすすめです。

すでにリビングにペンダントライトやスタンドライトがある場合は、そこを起点に、暗く感じる場所に目線より低い位置のあかりを足していくとバランスが整います。たとえば、アートの横やサイドテーブルの上に小さなテーブルランプを置くと、空間にリズムが生まれ、視線の先に心地よいアクセントが加わります。
こうしたあかりの重なりや間が、空間に奥行きと豊かな表情をもたらし、秋の夜長をより味わい深く、くつろぎに満ちた時間へと導いてくれます。