インテリアを変えるにあたって、素材や色のコーディネートをどう取り入れたらよいか分からず、ベーシックな色味に納まりがちという悩みをお持ちの人は多いのではないでしょうか。
Instagramやピンタレストで情報収集したり、動画で著名人のルームツアーを見たり
雑誌からヒントを得るというケースなど、アイデアの採り入れ方はさまざまです。
また、海外では大規模なインテリア家具の見本市も開催されています。
今回は、デザインの聖地といわれているイタリア ミラノで、OZONEインテリアデザイナーが素材やカラーの最新トレンドをチェックし、日本の部屋づくりのヒントになるインテリアコーディネートのアイデアをご紹介します。ぜひご参考にしてください。

日本にショールームがオープンした注目のイタリアブランド「MERIDIANI」(左)と「EDRA」(右)の展示も。
ファッションの最新トレンドを発信する「パリコレクション(パリコレ)」は誰もが聞いたことがあると思いますが、そのインテリア版とも言える「ミラノサローネ(※)」というイベントがあります。
「ミラノサローネ」でインテリアメーカーが発信する新商品や素材は、世界中のインテリアに関する企業、デザイナーをはじめ、一般の生活者からも注目を浴びています。
そこで、日本の住まいにも取り入れやすいトレンドの傾向を、OZONEインテリアデザイナーとしての視点でご紹介します。
アースカラーをベースにした、自然を感じるインテリアのトレンドが継続。

朝焼けをイメージしたグラデーションカラーの壁紙(左)と、バーガンディレッドが印象的な空間(右)。
今世界中で抱えるさまざまな問題の中でも、やはり環境問題が1番の共通のテーマとしてあると思います。
それに伴ってインテリアにも、以前からあった自然回帰の傾向が継続していると感じました。
木や石といった天然素材など、地球にやさしい素材を使うこともそうですし、室内で自然を感じさせるような素材を取り入れるなど、ナチュラルで落ち着いたインテリアスタイルの流れが続いています。
カラーで言うと、大地や空、植物、石などの自然を連想させる「アースカラー」が多かった印象です。具体的には、濃淡のあるグリーン、落ち着いた黄色や水色、朝焼けのような淡いピンクなど。
今年はそこに、深みのある赤をプラスして、大人っぽく上品な印象にまとめるコーディネートも見られました。
また、ソファなどの張り地の素材は「ブークレ」が主流。「ブークレ」とは、糸の輪っかが出るように加工されたもので、モコモコ、プクプクとした肌触りが特徴です。
家具のフォルムも、まっすぐシャープではなく、丸みのあるやわらかな線が多い印象。
さらに快適さを求め、ソファの座面も低めでそのまま床座できるものだったり、使いやすさの点から回転椅子のラインナップも増えていました。

プクプクとした凹凸感のある素材「ブークレ」の張り地や、コロンと丸みのあるフォルムのソファが主流に。
現代にアップデートされたミッドセンチュリースタイルにも注目。

AIも加わり急速な技術革新や新たな素材開発が加速する中、これらを活用した現代らしいデザインやスタイルが生まれています。ミッドセンチュリーを彷彿とさせるカラー使いやスタイリングも多く見られました。
またここ最近、ガラス素材にも注目していたのですが、ガラスがアート性をもたらす主役級に変化しています。高度な加工技術を駆使し裏側から凹凸や柄を施すことで、これまでの透明でシャープな印象と加工技術による温かみや複雑な表情が融合し、革新的なデザインをもたらしています。

左)吹きガラス技術で作られたテーブル。カラー使いも相まって未来的でありながらどこか温かく懐かしい感じ。
中)フィルムではなくガラス自体に施された大理石柄。
右)ガラスに施した凹凸を通して、光が床に映し出される美しいデザイン。
和の要素を取り入れるスタイルも最近のトレンドで、主要なブランドも続々と提案しています。
落ち着いた和の雰囲気の中に、ツヤ感のある塗装など新たなエッセンスを加えることで、今までと違った刺激のあるコーディネートが生まれていました。
サステナブル素材や、AI技術を活用したインテリアも登場。
展示全体を通して、サステナブルなデザインが多く見られ、意識として定着していると感じました。
使用後に自然に還る素材を使用したり、廃材を新たな商品に生まれ変わらせる「アップサイクル」製品も。
印象的だったのは、ウォーターサーバーの使用済ペットボトルを永く使える内装材にアップサイクルした商品開発です。
ペットボトルそのものの濃淡あるカラーを活かし、光を通すタイルのような美しいデザインに蘇らせています。
未来に向けて、サステナブル素材やAIを活用したデザインなど新たなテクノロジー開発も進んでいますので、これからも期待したいですね。

日本のデザインラボ「HONOKA」が「アクアクララ」のペットボトルをアップサイクル。
デジタル技術を活用してデザインされたアートのようなラグは、床に敷くのはもちろん、タペストリーとして壁に飾るのもおすすめです。
「ミラノサローネ」と同時に、照明デザインの見本市「エウロルーチェ」が開催されていました。 照明にも、天然素材のリサイクルや、ガラスの加工技術を駆使したものなど、サステナブル素材が続々登場。

左)溶岩のリサイクルでつくられたイタリア「FOSCARINI」のペンダント照明。
右)新開発のガラスとLEDでこれまでにない光の組み合わせを生み出す「OLUCE」ペンダント照明。

LEDによって照明デザインもさまざまな表現が可能に。左は「moooi」の新作【チューブライト】。右は「FLOS」の新作【seki-han】。木製2枚のブレードが特徴。クラフトマンシップと高度な技術を融合させた復刻版。
和と洋が融合する新感覚の生活空間を、日本ブランドが提案。
見本市の「ミラノサローネ」だけでなく、市内にショールームをもつ日本のインテリアメーカーもありました。現地の建築に日本のこだわりの素材やデザインを融合した空間は、ヨーロッパのエッセンスを取り入れる際に参考になりそうなアイデアが豊富に見られます。

ヨーロッパ2店舗目となるショールームをミラノに構えた「Time&Style」では、東洋と西洋の文化を融合させた新たな価値観の生活空間を提案。
左)日本の石畳風に敷いた大理石の床と、和紙貼りの壁が新鮮な印象。
中)アーチ型の天井と木工家具が心地よく調和し、やわらかな雰囲気を演出。
右)和紙職人がつくるモダンなオリジナル照明は、和洋問わず空間のアクセントに。
「ミラノサローネ」からインテリアや住まいのトレンドが生まれるといわれ、日本でもこれからインテリアショップやショールームなどで、その傾向をご覧いただくことができると思います。
カラーや素材などにトレンドの要素を取り入れて、ぜひ自分らしいこだわりのあるお部屋づくりにトライしてみませんか。
(※)ミラノサローネ:
毎年4月に、イタリア ミラノで約1週間開催される世界最大級のインテリアデザインイベント。
メイン展示場の「ミラノサローネ国際家具見本市」と、ミラノの街全体がデザインの展示会場になる「フォーリサローネ」を合わせて、期間中100万人規模の人々で賑わう。
業界関係者が多く集まる「ミラノサローネ」は、37か国100以上のブランドが参加、出展数は2000以上にのぼる。

OZONEインテリアデザイナー:志村文子
大手住宅メーカーコーディネーターを経て、現在はリビングデザインセンターOZONE「OZONE家design」にて、リフォームやインテリアを担当する。
個人住宅を中心にインテリアコーディネートやリフォームを手掛ける一方、住まいづくりに関するアドバイスやセミナーの講師活動も行う。
【インテリアコーディネートの事例】
・開放感のあるリゾートスタイルでホテルライクな暮らし
・イタリアンモダンで都会的な暮らし
・上質インテリアと暮らす 大人の北欧スタイル
インテリアデザイナーによる無料セミナーのご案内
【定例セミナー】「心地よいインテリアへ 空間のコーディネート」

心地よい空間づくりのためには、床・壁などの内装材はもちろん、家具やカーテン、照明や小物に至る細部まで、よりトータルな計画をしてコーディネートすることが大切です。 OZONEのインテリアデザイナーが手がけた事例を通して、空間コーディネート術を詳しく解説します。
ご相談はこちら OZONE家designスタジオ
インテリアデザイナーがご紹介するライフスタイル記事
・ベランダにグリーンを取り入れて
居心地のいいアウトドアリビングに
・プロから学ぶ!インテリアのAtoZ~新生活準備編~
・おもてなしが楽しくなる!集う日のインテリアコーディネート
・インテリアからはじめる、SDGs
~わたしのサス活~
・インテリアデザイナーが叶える 仕事がはかどる!自分仕様のワークスペース
・窓まわりを効果的に演出する ウィンドウトリートメントの基本
・軽やかな夏の窓辺はレースカーテンが主役
・部屋の印象を爽やかに変える お手入れ簡単、季節の枝もの
※2025年6月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。