北欧の暮らしやインテリア、旅をテーマにした執筆活動やトークイベント、TV出演など幅広く活動されている北欧ジャーナリスト、エッセイストの森百合子さん。
古民家をリノベーションしたご自宅も、北欧の知恵やアイデアが満載です。
今回は、森さんと一緒にOZONE6Fの「ウッドワンプラザ新宿」を訪れ、ショールームスタッフの中村さんの案内で、ウッドワンの木のキッチンを体験していただきました。
森さんがこれまで見てきた北欧のキッチンとの共通点や、木の素材の魅力、ご自宅のキッチンのこだわりもご紹介します。
木のメーカーだから実現できた、日本の環境にも合う「無垢のキッチン」
― 森さんは古民家をリノベーションしてお住まいですが、キッチンづくりではどのような点にこだわりましたか?
森:わが家のリノベーションでは北欧で見てきた住まいを参考にしていて、キッチンもそうです。友人たちの家で撮らせてもらったキッチンの写真の数々は、いざ自宅のキッチンをリノベーションしようという時に、大きなヒントになりましたね。
キッチンの壁にはカラフルな壁紙を使いたいと思っていたこと、またリノベーション前から使っていた黄色と青の食器棚もあったので、それ以外の部分はシンプルに白をベースにしようと決めていました。ワークトップも白にしようかと考えていましたが、北欧のキッチンを見てきた中で、木の天板もいいなと思ったんです。
ただ、日本と北欧では気候が違いますし、湿度の高い日本で、それもキッチンで木を使うのは、汚れや耐久性、お手入れのしやすさを考えるとどうなんだろうと不安もありました。実際に使ってみたら思っていたような不具合はないですし、汚れが目立ちにくい木材を選んだこともあって、気兼ねなく使えています。

森さんのご自宅のキッチン。自分にとって必要な機能や、手持ちの食器の量を考えた設計で、コンパクトながら使い勝手抜群。
色や素材のコーディネート、見せる収納で調理の時間が楽しくなる工夫も。
中村:
無垢の木を水回りなどに使うことに不安を感じる方もいるかもしれませんね。
ウッドワンの「木のキッチン」は、密度の細かい特殊なウレタン塗装で仕上げているので、水や汚れが染み込まず、醬油などをこぼしても軽く拭くだけでシミになりません。
扉は伝統的な框組(かまちぐみ)にすることで、縦横の木材がしっかり組み込まれ、反りや狂いが出るのを防ぎます。
ウッドワンは、広島県で製材会社としてスタートし、床などの建材メーカーとして70年以上の歴史があります。後にキッチンメーカーと合体したことで、「木のキッチン」が誕生しました。
「木のキッチン」は、木をずっと扱ってきた建材の力と、キッチンメーカーの技術力が合わさってできた結晶と言えます。
ショールームでは、さまざまな樹種のキッチンと、使う人の作業のしやすさや間取りに合わせたシーン展示をご覧いただけます。

ウッドワンが森で育てたニュージーパイン®をはじめ、無垢材をふんだんに使ったキッチン「スイージー」。
無垢の木のキッチンは使い続ける中でじっくりと味わいを深め、落ち着いた色合いに変化していきます。
― 木のプロだからこそ、日本の環境でも安心して使えるキッチンを実現できたということですね。
中村:
はい。無垢の木でつくった代表的なキッチンがこちらの「スイージー」です。
「スイージー」という名前は、家事・炊事の作業を楽しく豊かな時間にしてほしいという意味を込めて名付けています。
森:
キッチンは機能が第一の場所ですけれど、色や素材を選んでいいデザインになれば、家事をする気分もあがりますよね。
北欧の友人の家では、キッチンにも絵や、家族との思い出の品を飾っていて、驚いたことがあります。
それまでキッチンといえば、空いたスペースがあれば収納を増やす、くらいのイメージしかなかったので。

中村:
お気に入りのキッチン空間で家事を楽しむことは、まさにウッドワンが目指しているところです。
「スイージー」は、扉の樹種や天板の種類、ハンドルなど自由にお選びいただけることにこだわっていて、壁面にラインナップを展示しています。
森:
これだけ種類があると、選ぶのに悩みますね!
中村:
こちらのサンプルではなかなか決めきれないので、その際はショールームの部屋型展示でイメージを掴んでいただくようにしています。
無垢材のキッチン「スイージー」と、見わたせる収納・しまう収納
中村:
こちらは、オーク材をふんだんに使った「スイージー」のオープンキッチンです。
オーク材は木目が美しく、耐久性に優れた人気の樹種で、天板にはクオーツを使用しています。石素材ですが、やさしい色を選んで温かいイメージに仕上げています。
食材に気を使うのと同じように、食材を扱うところも自然素材にこだわると、気持ちも暮らしも豊かになるのではないかと思っています。
また、壁面に扉つきのカップボードと、オープンタイプの収納を設置して、しまう収納と見わたせる収納のメリハリのある空間になっています。

森:
高さがあって、扉つきの収納があるのはいいですね。
北欧のキッチンの収納事情も注視しているのですが、壁面収納やパントリー収納など、小さなキッチンでも収納が充実している印象があります。
高さのあるグラスや、置き場に困る花瓶、かさばる食材まできっちり収まって、見せる収納とのメリハリがついている。

壁の凹凸を利用した浅い棚は、ヨーロッパの古いアパートなどでも見かけますね。
そこにこうして、かわいいスパイス瓶や植物などを並べてあって、うちにも凹凸があったらこうしてあれこれ並べたいなあ、と憧れていました。
無垢の木とアイアンを組み合わせた「フレームキッチン」は、自由度の高さが魅力
中村:
「フレームキッチン」は、無垢の木の棚板と鉄のフレームを組み合わせたシンプルなキッチンです。
オープンタイプのキッチンは、オールステンレスのものが多く、木でつくられたものはありそうでなかったとご好評をいただいています。

森:
フレームと棚板を自由に組み合わせて、スペースを無駄なく使えるのはいいですね。
わが家は空間が限られていたこともあって、リノベーションの際には、キッチンを日々どう使っているか、かなり具体的に考えて計画を立てました。
たとえば、大きなオーブンに憧れがありましたが、実際にはそんなに使わないから、その分を収納にあてようとか。食器はどんなサイズが多いか、それなら棚の奥行きはどのくらい必要か。持っているけれど使わない鍋などを整理して、最終的にどれくらい収納スペースが必要かを考えました。
仕様やサイズが決められたキッチンだと「この部分、うちには必要ないのに」となってしまいそうですが、カスタマイズできるといいですよね。

中村:
オープン収納なので、お気に入りの食器や調理道具など、飾る感覚で毎日楽しく使っていただけるかなと思います。
機能面では、人気の食洗機「ミーレ」が取り付けできるということで選ばれる方もいます。
森:
わが家にも食洗機を入れているのですが、つくづく設置してよかったと思っています。
北欧のキッチンでも、食洗機はたいていありますね。日々の家事を助けてくれて、夫婦共働きを支えるものでもあります。
扉の面材が木で合わせられるのは、いいですね。わが家でも白の面材で統一していて、家電としての存在感が出過ぎないのがいいんです。

手持ちの大皿のサイズに合わせて造作したという、森家の食器棚。下の段は奥行きを浅くして、オープンに。よく使うマグカップや目に楽しいカラフルな食器を収納している。
森:
北欧の家では、オープンシェルフの高い場所にもお皿を何枚も重ねていたりして、これは地震がない国ゆえの収納だなあ、と驚くことも。
素敵だからといって真似はできないこともあるので、違いを踏まえながら、取り入れることも必要でしょうね。
回遊動線も考えられた、重厚感のあるウォルナットのキッチン空間
中村:
続いては、ウォルナット材を使ったキッチン空間をご紹介します。
ウォルナットは、色は重厚感がありますが、ふんわりとしたやさしいマーブル調の木目が特徴の樹種です。
森:
ウォルナットは私も好きな樹種で、自宅の寝室の床に使っています。
無垢材はそれぞれ個性があるので、ビンテージ家具の多いリビングは家具に合わせてチークの床材にしたり、部屋によって使い分けています。
経年変化が楽しめるところもいいですよね。
中村:
無垢材は同じ樹種でも木目や模様によって印象が変わるので、他にはないわが家だけの一点ものとしてお楽しみいただけたらと思います。
このキッチンは奥行きが浅いので、リビングがより広く取れ、ご夫婦でキッチンに立つ際も後ろを広く使えます。
効率を考えて左右どちらからも回り込める「回遊動線」をご希望される方も多いですね。
木のぬくもりに触れながら、自分だけの理想のキッチンが見つかる
ショールーム内では靴を脱いで、床材の踏み心地も体験。
中村:
ウッドワンではキッチン、床材、ドア、洗面台などトータルでご覧いただくことができ、実際にさまざまな樹種に触れていただけます。
例えば、パイン材のフローリングは、針葉樹なのでやわらかく、キズがつきやすいと言われますが、アイロンのスチームで修復ができ、利便性もあるんですね。
やわらかいからこそ、足腰に負担がかかりにくかったり、樹種の個性もとらえ方によって前向きに考えられます。
森:
北欧では、白樺やパイン材を使った家具が多いのですが、昔はやわらかすぎて家具に使えないと言われていたそうです。でもフィンランドの建築家アアルトは白樺を使って名作家具を生み出しましたし、いまでは北欧の家庭で親しまれている木材なんですよね。
ウッドワンさんでは、こうして木の特性を説明いただきながら選べるのがいいですね。
おこもり感のあるメープル材のコンパクトなキッチン。
作業に集中したい方に人気のタイプで、森さんも「コンパクトなキッチンは落ち着く」と気に入られていました。
中村:
今はオープンキッチンだけでなく、壁向きのキッチンも人気がありますし、コンロとシンクが背中合わせになった2列型が作業しやすいという方もいらっしゃいます。
住まいの間取りや、実際にキッチンに立つ方の使いやすさによって、本当に人それぞれなので、お客様との会話の中でご要望をお聞きして、理想のキッチンをご提案しています。
森:
キッチンの正解はひとつじゃないですよね。わたしも以前は、オープンキッチンは広いスペースがないと合わないと思っていたのですが、つい最近訪れたデンマークの友人の新居でコンパクトながら動線のいいオープンキッチンを見て、これはいいなあと。
実際にキッチンに立つとやっぱり、イメージがわいたり、自分の好みがわかってきますね。
はじめは何から決めればいいのか悩みますが、さまざまなキッチンの空間を体験してみるのはおすすめです。
木を活かしたキッチンや家づくりはやっぱりいいなと思います。日本の暮らしに合わせた木の空間を、相談しながらつくれるといいですよね。
お客様1人ひとりのご要望に合わせたキッチンが見つかるウッドワン新宿プラザ。
木の温もりに触れながら、理想のキッチンづくりを始めてみませんか?

北欧ジャーナリスト・エッセイスト 森 百合子
旅のガイドブックやエッセイ、カルチャー誌への寄稿、北欧の映画解説などを中心に執筆。『日本の住まいで楽しむ 北欧インテリアのベーシック』(パイ インターナショナル)では、築90年になる自宅のリノベーションについて綴っている。
近刊となる旅のエッセイ『探しものは北欧で』、続編の『待ちあわせは北欧で』(どちらも大和書房刊)が好評発売中。執筆のかたわら、北欧ビンテージ食器とテキスタイルの店『Sticka』を運営。
公式HP:北欧BOOK
Instagram:@allgodschillun

ウッドワンプラザ新宿
館内ショールーム
無垢のキッチン、建具、床等の住宅部材をトータルでご提案する、木質総合建材メーカー「ウッドワン」。
ウッドワンプラザ新宿では、理想のイメージが膨らむ空間展示を行い、アドバイザーが思いを形にするお手伝いをさせていただきます。
ぬくもりに包まれた、木を感じる暮らしをウッドワンプラザで見て、触れて、ご体感ください。
灯りと彩り、北欧から学んだ私らしい空間 森百合子さんの暮らしのたしなみ
北欧5か国で取材を重ね、20年以上にわたり幅広い活動で北欧のライフスタイルを伝えている森百合子さん。
森さんが北欧に出会ったきっかけや、北欧の知恵を取り入れた築90年になる古民家のリノベーション、居心地の良い空間をつくる照明や色づかいなどについてお話を伺いました。
※2025年7月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。