大切なペットに「ありがとう」を伝えたい
飼い主に寄り添う新しい祈りのかたち

大切なペットとの別れの時。どんなに愛情を注いでいたつもりでも「もっと何かしてあげられたのでは」という思いを抱いてしまい、なかなか気持ちの整理がつけられない方も多いのではないでしょうか。
富山県で高岡銅器を用いたものづくりを行う瀬尾製作所は、そんな飼い主の気持ちに寄り添う、ペットと飼い主のための仏具ブランド「Sotto Sora」を立ち上げました。
「Sotto Sora」に込めた思いや、ペットとの思い出を残すデザインのこだわりについて、瀬尾製作所の代表取締役 瀬尾(せお)良輔さんと、長年「Sotto」シリーズのデザインを手がけてきたプロダクトデザイナーの岡田心(しん)さんに話を伺いました。

「残された人」の毎日に、そっと寄り添ってくれる仏具

ペット用仏具SottoSora1

家族やペットなど、大切な存在との別れを受け入れることは簡単ではありません。
残された人が悲しみをやわらげていくためには、時間と心を落ち着ける場が必要です。
「忘れるのではなく、想うことによって癒され、結果として残された人自身のためになっていく」と瀬尾さんは言います。
「祈り」とは、故人を供養するためだけのものではなく、自分の心を静かに見つめて、やがては日々を前向きに生きるための、大切な時間をつくり出すもの。
そうした考えから、現代の暮らしにそっと寄り添う、瀬尾製作所の仏具「Sotto」シリーズが誕生しました。
家族が集うリビングや寝室、和室のちょっとしたスペースにも自然に溶けこむシンプルなデザインにこだわり、日常の中にささやかな「祈り」の場をつくります。

そんな「Sotto」が、ペットを亡くした飼い主にも使用されていると知り、ペットのための仏具をつくれないかと考えて誕生したのが新ブランド「Sotto Sora」です。
ペットと一緒にかけがえのない時間を過ごしたからこそ、「もう会うことができない、お世話をしてあげられない」という思いが強く、飼い主さんに後悔の気持ちが生まれてしまうと言います。
大切なペットの記憶を、後悔ではなく、「ありがとう」という温かい気持ちとともに思い出してほしい。楽しかった思い出や、可愛い姿を思い起こせるような仏具がつくれないかと、長年の構想を経て、新製品「Tailo(テイロ)」が生まれました。

「うちの子の色」を、そばに置く

ペット用仏具SottoSora2

「Tail(テイル)=しっぽ」と「おりん」を組み合わせて名づけられた「Tailo(テイロ)」。
伝統的な高岡銅器の重厚さを活かしながら、自然木のぬくもりを組み合わせて、和洋問わず、現代のインテリアになじむデザインに仕上げました。
可愛いしっぽをイメージしたりん棒は、指でそっと触れるとしっぽを振るようにゆれて、愛らしい動きが家族との絆を思い出させてくれます。

この形に辿り着くまで、構想に10年以上、試作を始めてからも2年の年月がかかり、開発のためのノートは100ページ以上に及んだと言います。
ペットをどう弔ったら良いかを考えたとき、「おりん」本体に写真を入れることは、まず初めに決まったのだそう。
「おりん」でもっともポイントになるのが「りん棒」のかたち。おりんを鳴らした時にペットがしっぽを振って喜ぶ様子をイメージして、りん棒をしっぽに見立てられないかと考えました。
素材や形をさまざま試行錯誤し、「もっとしっぽらしくするには?」と何度も試作を繰り返して、最終的に、天然の桜の木と布のループを組み合わせたデザインが完成しました。

ペット用仏具Tailo1

Tailo(テイロ)
・サイズ(㎜):本体 W67×D64×H43、りん棒 φ22×H55
・素材:真鍮・天然木・アクリル・布(人工皮革)
・価格(税込):15,400円

ペット用仏具Tailo2

持ち手は毛の色をイメージして、ホワイト、クリーム、ミックスグレー、タン、チョコの5色から選べるカラーにこだわりました。
これだけの色のバリエーションをつくって管理するのは手間がかかりますが、飼い主さんに「うちの子の色」を見つけてほしい、という思いから5色の展開に踏みきったのだそう。
素材も、撫でていた時のやわらかな肌触りをイメージして、風合いにこだわった人工皮革「東レ ウルトラスエード」をセレクト。
おりんの中央には、ペットがこちらを見上げているような角度で写真を飾ることができ、見るたびに心温まる記憶がよみがえります。
ペットの毛や爪も、飼い主さんにとってかけがえのない大切な思い出の一部。本体に小さな形見を納められるので、いつでもそばにペットの存在を感じられます。

ペット用仏具Tailoりん棒
ペット用仏具Tailo形見

かけがえのないペットとの思い出を、日常に溶けこむデザインに
プロダクトデザイナー 岡田心

瀬尾さんとは20年以上一緒に仕事をしていますが、新製品はいつも完成までしっかり考え抜くので、「Tailo」が世に出るまで長い年月がかかったのも、いつも通り時間をかけて送り出したという印象です。
「Tailo」の制作で苦労したのは、しっぽに見立てたりん棒のデザイン。
ペットのやわらかさや愛らしさを表現したかったのですが、縫製したり切ったりすることできちんと行儀よくなってしまって。そうではなく、「かっこ良すぎないデザイン」にしたいねと、瀬尾さんやスタッフのみんなで考えて、ループをねじって留めるというアイデアが生まれました。みんなで意見を出し合い、一緒につくっていくのも瀬尾さんとの仕事の特徴です。

「Sotto」「Sotto Sora」シリーズは、「どうそっと寄り添うのか」という寄り添い方そのものを提供しています。今回の「Tailo」はおりんに写真を入れる試みをしましたが、ペットであれば写真がそばにあっても「そっと」存在できると思ったんです。
僕自身、ちょうど「Tailo」の制作中に、長年一緒に過ごした大事な相棒ともいえる愛犬を亡くしました。
大切なペットの死は、想像以上に落ち込みます。しばらく経ってからも、ふと部屋の片隅から見慣れた毛が出てくると思い出して、先日も出先で服に白い毛がついているのに気づいて「一緒についてきたんだな」と思ったりして。
ペットの毛は飼い主にとってすごく思い入れの強いものなので、毛をしまえるつくりにしました。
「Tailo」は特別な場所でなく、リビングやキッチンなど、日常の中で関わる所に置いて、身近に感じることで少しでも飼い主さんの心の支えになれたらうれしいですね。
わが家も、いつも愛犬がいた家族の通り道に置いていて、小学生の娘も出かける前に「行ってくるね」と声をかけています。
僕は大学で教壇に立っていますが、「仏具のデザインをしている」と言うと、学生から「ヘビーな仕事ですね」と言われるんです。でもむしろ人の支えになって、プラスになることをやっていると思っています。寄り添えているか分からないけど、これからもそういう気持ちでつくっていきたいですね。

ペット供養の新しい選択肢「Sotto Sora」のこれから

ペット用仏具Tailo3

「Sotto」が誕生した当時は、昔ながらのどっしりした仏壇を置くか、何も置かないかの二択しかありませんでした。
故人を供養したいけど、あまり大げさな物は置きたくない、置く場所がないという方は「何も置かない」という選択しかなく、弔いの場をつくることが心の癒しにつながるのに、その機会を逃していると瀬尾さんは感じていたそうです。
現代の暮らしに合わせたコンパクトな「Sotto」シリーズは、幅広い方々に支持され、これまで置けなかった場所に置けたという声も多くありました。「お墓参りの時に持参できた」「おばあちゃんが施設に入る時に持って行くことができた」という声を実際に聞いて、役に立てていると感じてうれしかったと瀬尾さんは言います。
新しくスタートした「Sotto Sora」シリーズも、「Tailo」の次の新製品の開発が始まっているそう。
ささやかな「祈り」の場を生活の中に取り入れて、大切なペットをいつでも身近に感じられるように。そして残された飼い主さんが、きちんと見送ることで、安心して前を向いて進めるように。
瀬尾製作所は、これからも時代の変化に合わせて、今の暮らしに寄り添う供養のかたちを提案し続けていきます。

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瀬尾製作所株式会社 代表取締役社長 瀬尾 良輔

流通関係のシステム構築や運用業務等、IT関連の仕事に従事後、2008年に生まれ故郷である富山にUターンし、家業である瀬尾製作所(株)に入社。
高岡市の伝統産業である「高岡銅器」に関わる金属を素材とした「ものづくり」を学びながら、製品開発に取り組む。2018年より同社代表取締役に就任。

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プロダクトデザイナー 岡田心

1975年愛知県生まれ。名古屋芸術大学美術学部デザイン学科卒業。自転車メーカー等を経て、2005年フラップデザインスタジオ設立。
伝統産業や中小企業と共に育てる商品開発を心がけ、印鑑から仏具、食器、自転車など、各地でさまざまな製品デザインを手がける。大同大学情報学部情報デザイン学科教授。
グッドデザイン賞 2018仏具「Paddle」、グッドデザイン賞 2021なわとび「Bouncy」など受賞歴多数。

瀬尾製作所展示室 SEO TOKYO SHOWROOM

館内ショールーム

地場産業として400年前から 金属加工が根付く富山県高岡市において、1938年の創業以来、伝統工芸「高岡銅器」の技術を受け継ぎながら、時代の変化に合わせ、使う人の暮らしに寄り添うものづくりを続けています。
ショールームでは、現代のライフスタイルに合わせた仏具【Sotto】とペット用仏具【Sotto Sora】、現代の建築に合わせた雨樋・鎖樋【SEO RAIN CHAIN】を紹介しています。


※2026年2月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。

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