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右:加藤祐介さん 左:板垣萌さん
(株式会社日東製陶所)

設計・施工のプロフェッショナルを対象に、館内ショールームの製品をお試しいただける『モニター募集」のアイテムを、8回に分けてご紹介します。
『モニター企画』の詳細はこちら(※募集は終了しています)

7F 「SWANTILE東京ショールーム」がモニター募集するのは、釉薬から一貫生産した内装壁用タイルです。「SWANTILE (スワンタイル)」ブランドを運営する株式会社日東製陶所の営業担当の加藤祐介さんと、ショールーム担当の板垣萌さんに製品の特徴を伺いました。


―「SWANTI LE (スワンタイル)」は日東製陶所さんの自社製品のブランドです。本社工場を構える岐阜県多治見市は施釉磁器モザイクタイル発祥の地であり、今も国内随ーの生産量を誇ります。御社の歴史から教えてください。
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多治見にある本社工場でのタイル成形の様

加藤釉薬をつくる会社として1950年に創業しました。今は成形から施釉、焼成まで手がけ、タイルを一貫生産しています。分業制が主流の多治見のタイル工場のなかで、釉薬もタイルもつくっているのは当社くらいでしょう。窯元が袖薬を自社でつくっていることが強みだと考えています。

釉薬部では2500種類以上の顔科を調合して色を開発しています。たとえば、ひと口にグレーのタイルをつくると言っても、赤みがかったグレーとか、青みがかったグレーとか、いろいろな見え方があります。顔科の割合を少し変えただけで、まったく違う色になりますから、色の開発は無限なんです。

ひとつの釉薬をつくるのに、通常は10種類前後の顔料や原料を混ぜるでしょうか。他社に真似されないようにという理由もあり、釉薬部が技術を発揮するところです。

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釉薬のテスト。吹き付けた後に焼成し、
焼き上がりの色を見ながら調整を重ねる

―日東製陶所さんはさまざまなタイルメーカーに製品を卸しているのですよね。

加藤特に外装壁用タイルは当社製品が国内シェアの30%を超えます。この実績はタイルメーカーや建材商社からの注文に忠実に応えて積み上げたものです。また、2014年に東京オフィス、翌2015年にOZONEにショールームを開設し、設計事務所や建て主の方に当社が直接、「こんなタイルはいかがですか」と提案する新たな仕組みをつくっています。外装・内装の壁・床タイルの全てを製造していることが他メーカーとの違いですね。

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左:釉薬部にある膨大な量の顔料。これらを調合してオリジナルの釉薬をつくる
右:「SWANTILE 」の製品サンプル。120種5000色以上を揃える

―モニター企画でご提供いただくのは内装壁タイルですね。5種類のデザインから選べます。

加藤いずれも2019年に発表した製品です。新しい試みのものばかりなので、ひとつずつご紹介しましょう。

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「マルコ」

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ショールームの受付カウンターに貼った
「ビンテフーモ」

まずは「マルコ」。
これは白いタイルなのですが、よく見ると、やや赤みがかっていたり、青みがかっていたりします。正方形のピースの縁に色が残る特殊な袖薬をかけているからで、白に見えるけれど実は白ではないというものになっています。
これまでにない色の見せ方のタイルで、どのピースをとっても表情が少しずつ違う。焼き物特有の違いですね。シンプルで飽きのこないデザインだと思います。

続いては「ビンテフーモ」です。
昔ながらの窯変釉を用いて、アンティーク調に仕上げたタイルで、カラーバリエーションが豊富で8色あり、見る角度によって光沢が異なります。光沢のある製品は掃除しやすいのが長所です。
これは形が「25二丁」と、ピースが細長い。ピースの大きさは47.5x22.5mm。この半分の大きさの25mm角は比較的ありますが、このように細長いピースは珍しいでしょう。

―「マルコ」に比べると「ビンテフーモ」は1ピースがだいぶ小さいですね。カタログの写真を見るだけでなく、ショールームで実物を見ることが大切だとわかります。

板垣「ビンテフーモ」はショールームの受付カウンターの正面に貼っています。大きい面で貼ったときの様子が一目でわかるからでしょうか、お客さまの反応が良い製品のひとつです。
黒や茶色は落ち着いて格好良く見えると思いますし、ピンクは女性のお客さまがよく見入っていらっしゃいます。また、緑色のタイルを探している方が意外に多く、このグリーンがぴったりと一目惚れされていたお客さまもいらっしゃいました。

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「ビンテフーモ」のカラーバリエーションの一部。濃灰の目地にするとシックに

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「フラングレイス」

加藤次の「フラングレイス」は、実は、昔ながらのデザインの形タイルを現代風に復刻した「レベリ」という製品に、先ほどの「ビンテフーモ」をはめこんでつくったものです。

当社は昔、釉薬を海外に売りに行っていた時期がありました。そのときにヨーロッパではこういう八角形のタイルが好まれていると、参考に持ち帰ったものを袖薬部の資料室に保管しているんです。
資料室と言えば聞こえがいいけれど、整理整頓できていなくて、実際には物置きのような場所ですが(笑) 。

その資料室から、営業の女性社員が「こんなタイルを見つけました」と八角形タイルを引っ張り出してきたのが「レベリ」誕生の発端です。それをもとに、ヨーロッパの貴族の館に使われるイメージのタイルをつくろうと開発が始まりました。アンティーク調の色合いも昔のタイルを意識したものです。

―営業の方がデザインを考えるのですか。

加藤デザインはほぼ100%社内で行っていて、新製品を提案するときは営業部と釉薬部の社員は全員参加します。私も「プチコレ」など、提案したものが製品になりました。内装用タイルは女性社員が考えたものが多いですね。

板垣「フラングレイス」は他にないデザインなので、ショールームでも目を留める方が多くいらっしゃいます。デザインもさることながら色も特徴的で、色によって印象がまったく変わると思います。
端部が繊細なカーブを描くので、設計者の方は納まりなどを考えてしまうかもしれませんが、直線にカットしたりせず、カーブをそのまま見せるのも素敵です。モニター企画でぜひチャレンジしていただきたいタイルです。

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「ラティスプラッド」

加藤「ラティスプラッド」は1ピースが菱形で、ダイヤモンドのカッティングのように凹凸をつけた面状と、フラットな面状のものの2種類を組み合わせています。凹凸のあるほうは光のあたり方で見え方が変わります。 このデザインは新しいでしょう。当初はもっと尖った菱形にしたかったのですが、機械で製造すると尖った先端は欠けることがあり、少しアールをつけています。 また、このタイルは飴袖、鉄砂袖、織部袖など、焼き物の世界では昔からある袖薬を用いているので、新しさのなかにもどこかレトロな雰囲気があると思います。

板垣「ラティスプラッド」は半マスカットをご用意しています。端部は半マスカットを使えばぴったり納められます。

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「ソシラス」

加藤最後にご紹介する「ソシラス」は、いわゆるサブウェイタイルの種です。ロンドンの地下鉄の駅には白くて細長いタイルが貼ってありますよね。それで、これくらいの大きさの細長いタイルはサブウェイタイルと呼ばれています。
「ソシラス」は227x60mmで、サブウェイタイルとしては少し長い。外装によく使われる二丁掛タイルと同じ大きさです。これはレンガの寸法がもとになっています。
当社ではトンネルタイルとも呼んでいます。高速道路のトンネル内の壁面に使ってもらっているからです。光を反射させるために貼るんです。最近では新東名高速道路や北海道横断自動車道に採用いただきました。6色あり、レトロな色合いが特徴です。八角形タイルを揺り出したアンティーク好きな女性社員がこれも開発しました。

―内装壁用タイルは、内装なら使う場所は問わないのでしょうか?また、採用の際に気をつけるべきことはありますか?

加藤当社のタイルは磁器質なので、外装にも使えるくらいの耐久性があります。気をつけるべき点としては、今回のモニター企画でご紹介しているものは光沢の出る釉薬を使っており、表面がツルツルで滑りやすいので、床に使うのは避けていただきたいと思います。内装床用にはまた違うタイルをご用意していますので。あとは、端部の納まりがきれいになるように考えていただきたいですね。

板垣モニター企画の機会に当社のタイルを使って、愛着のもてる素敵な壁をつくっていただけたらと思います。


取材・文/長井 美暁
※2021年4月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。

SWANTILE東京ショールーム

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