OZONE館内ショールームの[ものづくりの現場]をレポート。
製造工程や、品質管理など、ショールームに並ぶ製品の背景をお届けします。

1.メイン.jpeg-750.jpg

OZONE内の「マルホンショールームmokuzai.com」には、常時約50種類のサンプルがあり、一部のサンプルは持ち帰って検討することができる。しかし、一般の建て主には小さなサンプルだけで空間をイメージするのは難しい。期待と不安を抱える建て主に、より説得力のある情報を提供したいと考えるなら、マルホン本社ショールームに誘ってみてはいかがだろうか。場所は静岡県浜松市だが、無垢木材について知りたいユーザーが、中部、関西 、首都圏はもちろん、九州からも訪れるという。

その人気の理由は、他に類のないその規模と体験型の展示方法である。総面積約600㎡という無垢木材ショールームとしては日本最大級の広さを誇り、展示されている樹種は国内外から約80、アイテム数は約350におよぶ。特に充実しているフローリング材は、サンプルごとに1畳のスペースが割り当てられ、実際にその上を素足で歩いたり座ったりして感触を確かめることができる。

実験・実証のためのコーナーで、無垢木材との暮らしを体験的に学ぶことができることもユーザーに心強い。樹種や塗装の種類により経年変化はどう違ってくるか、汚れや傷はメンテナンスでどの程度カバーできるか等いろいろと比較してみると、傷の修復が困難な素材よりも、自分でメンテナンスができ、経年変化を楽しめる無垢木材のほうが、長い目で見れば経済的だと感じられるだろう。

通常はショールームのみの見学になるが、OZONEの見学会では特別に倉庫や検品の様子も見せていただいた。マルホンは原木の輸入も行っていて、国内外の天然木材が積み上げられた倉庫には10年以上保管している銘木もある。それらは時を過ごすことで、適切な水分量になるのを待っている。

無垢床材は自然に呼吸し、部屋の湿度を調整する機能がある一方、環境次第で膨張収縮の「動き」があることがデメリットとされていた。現在では安定した施工のための特殊技術が開発され、多様な住まいに対応可能となっている。床暖房による温度変化に耐えられる、無垢の床暖房フローリングも種類が増えつつある。ここで体験できる驚きや学びは、建て主の納得感や満足感を高める効果もあるだろう。

2-1-1200.JPG

総面積600㎡の広大なショールーム。同じ樹種でも仕上げの違いによって印象が大きく異なるため、それぞれにサンプルを用意している。1畳サイズのフローリング材が収納された棚の対面には璧材のサンプルが並び、奥にはモールディングやカウンター、耳つきの一枚板などの内装材が展示されている。

3-1-1200.JPG

無垢木材の検品現場で。フローリング用に、オークの無垢フローリングの加工精度を厳しくチェックしている。裏には施工を安定させるための特殊な溝が刻まれている。

4-1-1200.JPG

無垢木材の保管倉庫。国外で乾燥された木材は倉庫でしばらく日本の気候に慣らしてから加工する。高周波乾燥の機械に入れられるのは、長さ5mまで。それ以上の木材は長い年月をかけて天然乾燥させる。

5-1-1200.JPG

温水床暖房対応の無垢木材フローリングの品質試験を見学。長時間連続で床暖房を使用し、巾の変動を検査するため、室内は真夏のように暑い。ショールームでは床暖房対応の無垢フローリング、挽板フローリングともに、豊富な種類を用意している。

6-1-1200.JPG

さまざまな汚れや経年変化させたサンプルで、無垢材との暮らし方を学ぶ。樹種や塗装によって傷や汚れにも個性があり、ライフスタイルに合うタイプを選ぶことも大切だ。金属などによるへこみ傷は、スチームアイロンを当てると水分と熱により傷の部分が盛り上がり、傷がなくなってしまう。OZONEの「マルホンショールームmokuzai.com」でも、メンテナンス方法などを紹介している。


取材・文/長野 伸江
※2019年4月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。

マルホンショールーム MOKUZAI.com

館内ショールーム

木の色、表情、温かさ、素材をそのまま活かした無垢材を取扱うショールームです。床材・内装材・カウンターなどの情報提供はもちろん、実際に施工したイメージが伝わる大判サイズのボードサンプルも取り揃えています。内装に使う無垢材についてのご相談も承っています。