「これからの暮らしとワークスタイル」をテーマにした展示の一環として、オフィスデザインのプロフェッショナル:コクヨ株式会社の提案する、これからの新しい「働きかた」と「暮らしかた」にスポットを当てたセミナーが、2024年4月26日(金)にリビングデザインセンターOZONEで開催されました。
第1部「コクヨの働きかた最前線」
第1部は、「コクヨの働きかた最前線~コロナで起こった変化考察/コクヨの働き方事例ご紹介」と題し、コクヨ株式会社ヒューマン&カルチャー本部 働き方改革室長の新居臨氏が登壇。1969年からライブオフィス(コクヨ社員が実際に働いている実験オフィス、兼、“生きたショールーム”として公開する事業)を実践してきたコクヨらしく、コロナ禍による社内の働き方の変化も詳細にモニタリングしていたとのこと。2020年1月から5月にかけて激減する出社率と、それに反比例するかのように爆発的に増加するWEB会議数との対比も、誰もが体感はしていたものの、数字やグラフで見るのはなかなか衝撃的なものでした。
また、社員への意識調査の結果として、「睡眠時間が増えた」「食事が規則正しくなった」「家族や友人との時間が増えた」「健康や学びのために使える時間が増えた」などの回答が顕著に多く、コロナ禍が原因とはいえ、働き方が分散化することによる良い効果も確かにあったことが把握されています。そのことは、2023年5月にコロナが5類に移行したことで出社率がコロナ前に戻りながらも、WEB会議数はほとんど減っていないという調査結果にも表れていました。
続いて、これらの動向調査・意識調査によるエビデンスを踏まえた、最新のコクヨの取り組みについてもご説明いただきました。リモートワークが加速度的に浸透し、オフィスで働くことの根本を見つめ直す契機となったコロナ禍を経た、「アフターコロナ」ならではの働き方も既に実践中とのことです。
コクヨらしい働きかたのコンセプトを「Life Based Working~自分らしい働き方・学び方・暮らし方に寄り添う、自分の人生を軸にした働き方」と定め、そのための構成要素として「①環境:働く場所の選択肢提供」「②制度:ワークルールの明確化」「③仕組み:集う意味を醸成」の3つのエレメントを設定。
「家庭=ファーストプレイス」「センターオフィス=セカンドプレイス」「コワーキング/カフェ=サードプレイス」に加え、ブランチオフィスや地方のサテライトオフィスまでを選択肢として備え、それをシームレスに繋ぐものとしてオンラインを位置づけるという「①環境」整備の取り組み。また、ワークルールは毎年必ず改訂を行い、「働き方ガイドライン」に至っては3ヶ月ごとに刷新しているという「②制度」の取り組みの素早さと対応力には、受講者の誰もが驚かされました。
最後の「③仕組み」の取り組みとして、働く環境を活用してパブリックイベントを開催し、地域や社会とつながりを通じて社員に「集う」ことの意味を提供するという、コクヨ品川オフィス「THE CAMPUS」での活動などをご紹介いただきました。
第2部「働く暮らし方のトレンドと展望」
第2部は、「働く暮らし方のトレンドと展望~自宅で働く・学ぶ・創る空間づくりへの示唆」をテーマに、コクヨ株式会社WP事業本部 ECマーケティング部 グループリーダーの芥川梨枝子氏が登壇。自宅の働く環境を整えるための様々なアイテムを個人で購入できるコクヨ公式ECサイト「KOKUYO Workstyle Shop」の運営を担当されている視点から、特にコロナ禍を経た自宅で働くユーザーの動向に注目し、今後の「働く暮らし方」とそのためのアイテムのトレンド分析をしていただきました。
コロナ禍の只中、特に初期はリビングやダイニングなどの生活兼用スペースでやむを得ず働かざるを得ないという臨時対応の期間であったものが、アフターコロナとなった今では「働き方」自体が変革を迎え、自宅も大きな選択肢となりました。それに伴い、長時間、自宅で働くための場所の確保や環境整備など、新たなニーズが発生しているとのこと。コクヨではそれを、DX化の進展に伴ってテレワークが増えていくエンジニアやクリエイター等のデジタルワーカーや、もともと自宅が職場であった士業や執筆業などの「①プロワーカー」、そして、センターオフィスとその他のワークスペースを自分なりのバランスで使い分ける雇用型テレワーカーや今後も増加する共働き世帯などを「②ダイニングリビングワーカー」と、2つのセグメントに大別。それぞれが求めている自宅での働く環境やそのために必要なアイテムは、似ている境遇であっても実は大きく異なるという分析が行われました。
この「プロワーカー」と「ダイニングリビングワーカー」については、現状、まだまだクリアされているとは言えない「現実」の姿と、自宅で働くことをより快適にしていくために今後必要な「理想」の姿をそれぞれに分析。その「理想」を実現するために何が必要か…… そこからアフターコロナのためのコクヨの新しい提案が始まっていくとのことで、コクヨの家庭向けのオフィス家具における現在の人気商品が紹介され、締めとなりました。
第3部『コクヨの「働く・学ぶ・暮らす」家具展』ツアー
質疑応答を経た後の第3部では、特設展示『コクヨの「働く・学ぶ・暮らす」家具展』の見学ツアーが実施されました。
360°座面が動いて自然に体幹が鍛えられ、姿勢や健康を守り、脳の活性化にまでつながる機能性チェアーや、電動昇降タイプ、天板の傾斜角度を調整可能なタイプなど、近年特に人気の高機能ワークデスクなどに自由に触れ、試すことができる貴重な時間となりました。
さらに新居・芥川両講師が直々に各種オフィス家具の特徴や機能、コクヨ品川オフィス「THE CAMPUS」での取り組みなどを説明し、座学で話された内容を展示会場で更に確認するかたちで、この日のセミナーは終了しました。
なお、特設展示『コクヨの「働く・学ぶ・暮らす」家具展』は、2024年5月28日(火)までOZONE 7F 特設会場で開催中です。セミナー/見学ツアーの日同様、いつでも展示家具に自由に触れて、試すことが可能ですので、ぜひ会場にお越しください。
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※文中敬称略