ガラスを使った内装材のブランド「STYLE GLASS」の製品を紹介するリビングデザインセンターOZONE 6F【STYLE GLASS 東京ショールーム】。ガラス加工の確かな技術力を「加工のレシピ」、建材としてのガラス製品群を「ガラスのメニュー」として紹介し、『わたしたちはガラスの料理人です』と胸を張るキャッチコピーがひときわ目を惹きます。大手メーカーにもけっして引けを取らない、その技術力とアイデアの秘訣はどこにあるのか。「STYLE GLASS」を運営する九州の板ガラス総合加工メーカー 浜新硝子株式会社 東京営業部の松田彩花さんにお話しを伺いました。

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リビングデザインセンターOZONE 6F【STYLE GLASS 東京ショールーム】

―家具用ガラスで培った品質と開拓精神

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天然石をガラスに圧着させた「Mystic Glass」シリーズ

「弊社はそもそも福岡県の家具の名産地:大川市に創業し、家具用ガラスの製作からスタートした会社です。日常的に触れるガラス製品になるので、小口(ガラスを切断した断面)の磨き方ひとつとっても細心の注意と精度が必要です。『加工のレシピ』や『ガラスのメニュー』というキャッチコピーの発想も、様々な形の家具製品や、職人・メーカーの要望に合わせて多様な加工技術やアイデアが求められてきた土壌から培われたものです。その積み重ねを内装材という「建材」の領域に転用・派生させていったものが基礎になっています。」(松田)

家具用ガラス製作という浜新硝子のルーツと、どんな複雑な要望にも応えてみせるという矜持が、『ガラスの料理人』としてのSTYLE GLASSの誇りを支えています。しかしガラスという素材は、私たちの身の回りに数多く存在していながら、そのほとんどは存在感を消し、透明性、実用性、安全性がまず優先されることの多いもの。それを「見せる」ことを前提とした魅力的な建材に仕立て上げるには、相当なデザイン上の工夫が必要だったのではないでしょうか。

「特に社内にデザイナーを抱えていたり、有名デザイナーに発注したりしているわけではありません。まずはお客様の要望や提案に耳を傾けることが基本です。STYLE GLASSの場合は設計事務所や建築家が多くなりますが、そういう方々のインスピレーションや想像力を受け取り、それを技術的にどう実現し、安全面や法制面をどうクリアしていくのか、その方策を私たちが編み出していく過程で形が決まっていきます。お客様とのやり取りを通じて出来上がってきたものが、結果的にスタイリッシュなデザインとして形になっていくんです。」(松田)

―STYLE GLASSを代表する製品「Mystic Glass」「Gelle Glass」

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見る角度によって表情が変化する「Gelle Glass」シリーズ

その高級感とデザイン性の高さから店舗やホテル、マンションのエントランスなどでの施工例が多いSTYLE GLASSの製品。和紙、石材、金網などの異素材との組み合わせや、グラフィック印刷技術による様々な文様の表現、そしてガラス加工メーカーならではの「切子」などのカット技術、そこに素材のガラス自体の色や塗装なども組み合わせ、幾通りものデザインや色彩、テクスチャーの表現を可能にしています。

「ガラスを軸にしつつも、常に様々な素材と向き合う仕事です。ガラスの知識だけでは新しいデザイン表現を切り拓くことはできません。そんなSTYLE GLASSを代表する製品としてぜひご紹介したいものの一つがMystic Glassという製品です。これは合わせガラスの技術を応用し、天然石の薄板をガラスに圧着させたものです。天然石をそのまま壁材に使うと清掃などのメンテナンスが大変ですが、これは石の見た目はそのままにガラスで表面をコーティングした形になるのでメンテナンスが容易な上、薄い板状なので、背面から光を投射して天然石特有の陰影を印象深く浮かび上がらせることもできます。」(松田)

「もう一つはGelle Glassというシリーズです。鏡を二枚合わせた加工を施していて、図柄が背面のミラーに映り込み、影が落ちているように見えて、装飾壁面材として立体的で奥行きのある演出ができるものです。この加工は弊社だけの技術で、作り方も社外秘になっています。規定の図柄も揃えていますが、データを提供いただければ、それをそのままプリント加工することも可能です。企業やブランドのロゴマークを大きく映し出すなどの利用方法でも多くの反響をいただいています。」(松田)

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金属の質感再現に挑んだ新商品「Shade Color Metallic」シリーズ

―新商品「Shade Color Metallic」でのチャレンジ

現在、4F特設会場で開催中の【OZONE館内ショールーム新作展示】[2022年6月28日(火)まで]では、STYLE GLASSの新製品「Shade Color Metallic」が紹介されています。ガラスの片面を遮蔽性の高いインクで塗装した遮光タイプのカラーガラス「Shade Color Glass」シリーズに加わったニューモデルです。

「Shade Color Glassに対するお客様の要望でもっとも多かったのが、金属的な質感を表現できないか?……というものでした。それにお応えするべく開発に2年ほど費やし、金属成分を含む塗装剤を開発しました。色はゴールド、シルバー、ブロンズの3色に集約してコストを抑えながら、組み合わせるガラス自体の色や凹凸処理など表面を変化させることで、多様な色調の表現を可能にしました。裏面から塗料を吹き付けているので塗装っぽくは見えず、表面にはガラス特有の輝きが加わるので金属的な艶が活きていると思います。店舗、ホテルのエントランスカウンターなどアイキャッチになる場所でのニーズがあります。」(松田)

今後は、ここ数年で格段に進歩したグラフィック印刷技術を駆使し、複雑な表現を低コストで実現する製品など、『ガラスのメニュー』の選択の幅をさらに拡げたい…… と意欲を語る松田さん。ガラスの料理人の次なる挑戦にも注目しましょう。

―メーカーよりメッセージ

多様な加工技術を一か所に集約していますので納期とコストを圧縮することが可能ですし、小ロットでも、1枚からでも対応いたします。弊社は「できないとは言わない」という理念を掲げています。ガラスの加工でお困りのことがあれば、まずはなんでもご相談ください。私もそうした姿勢に魅力を感じて浜新硝子に入社しましたので(笑) :浜新硝子株式会社 東京営業部 松田彩花さん

※文中敬称略

出展情報はこちら>>

OZONE館内ショールーム新作展示
会期:2022年02月17日(木)〜06月28日(火)

6F【STYLE GLASS 東京ショールーム】

STYLE GLASS

浜新硝子株式会社


※2022年5月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。

STYLE GLASS 東京ショールーム

館内ショールーム

ガラスという素材の持ち味を最大限に生かしつつ、デザイン・異素材を組み合わせ、機能面・安全性も十分に配慮しながら今までお目にかかることがなかったような板ガラスの数々をもっと身近に感じていただけるインテリア空間を再現しながらご紹介しています。