リビングデザインセンターOZONE 7Fの【blue²@Tokushima LED∝藍】は、徳島県発のLED製品と藍製品とを同じスペースで紹介しているユニークなショールーム。1990年代、徳島県内の企業によって発明された青色高輝度LEDによって飛躍的に発展したLED製品と、県内製品は古くから「阿波藍」として知られ、日本の伝統色の代表格でもある藍という、徳島県が世界に誇る「二つの青」。それらを紹介する徳島県商工労働観光部の「ブルーブルー徳島プロジェクト」の東京における拠点となっています。今回は、そこに参加している企業の一つ、徳島県名西郡石井町のLED投光器メーカー:タカラ株式会社にお話を伺いました。
―施設運営業務での必要性からLED照明開発へ
「そもそも弊社はボウリング場やバッティングセンターなどのスポーツ施設を運営する会社でした。日常的な施設運営業務のなか、照明にかかる費用とパフォーマンスに課題を感じていた代表が、必要に迫られて自らLED照明器具の開発に乗り出した……というのが発端なんです。」と話すのはタカラ株式会社東京営業所の田中弘一さん。
自社で企画・製造したLED照明を自ら運営する施設で試用し、得られた改善点を次なる開発にフィードバックしていくことを繰り返すうち、同じような課題に悩む他の施設運営会社にも評判が広がり、製品化へつながっていきました。
また、その後の製品クオリティアップには、LED産業を推奨している徳島県ならではのバックアップが欠かせませんでした。「徳島県立工業技術センター」には、LED産業に特化した窓口である「LEDサポートセンター」が設置されていて、測光試験や性能評価、耐久評価を行える環境が身近に揃っているという強みがありました。さらに徳島県では2012年度から県内産素子を用いた優れたLED応用製品を認証し、企業の販路開拓を支援する「とくしまオンリーワンLED製品」認証制度を運用していて、その認証製品は2021年度までに累計207製品に上っています。
―移動式スタンド照明器具という新たな挑戦
その「とくしまオンリーワンLED製品」の認証を取得した新商品として注目を集めているのが、移動式スタンド照明『ストレートライト』です。
「これまでの製品はゴルフ練習場の屋根やプールの天井に取り付けるような、配線や取り付け工事を伴う設置型の大型照明器具が中心でしたが、ここ数年は、『この明るさを維持したまま持ち運びできるコンパクトな製品がほしい』というスポーツ施設のお客様からのご要望に応え、移動式・自立式のスタンドライトの開発に力を入れています。」(田中)
『ストレートライト』は、夜間野球練習の実証実験を通じて、1台でキャッチボール、2台で本格的な内野の守備練習が可能な明るさを確保。ゴルフ練習場用の照明で培った、強い光で遠くまで照らし、小さいボールをしっかりと見せる……というこれまでのノウハウを、小型移動式のスタンド照明に活用することで、スポーツ関係者だけでなく、BCP(事業継続計画)を考える企業や自治体、建設業等からの問い合わせも増え、新たな販路が拡がりました。
―防災用途への展開
開発の始まりはスポーツ用の可搬式照明器具を意図したものでしたが、いざ製品化してみたところ、徳島県の自治体などから災害に備えた備蓄用品としての問い合わせも多く届くようになったことから、防災という新しい販路を見出すことにつながりました。今では、『ストレートライト』に続いて開発された360°全般配光の移動式スタンドライト『オムニLEDライト』と合わせ、これまでのようなスポーツ施設用途のみならず、防災関連製品の展示会などにも積極的な出展を行い、好評を得ています。
「『オムニLEDライト』は周囲を満遍なく照らすタイプの照明です。海外製品も含めて似たタイプの商品はいくつかありますが、防災現場での使用をより意識し、屋外での雨風を気にせず使用できる防水防塵規格IP65の耐久性を持っていることが特徴です。家庭用コンセントのAC100V電源で点灯するので、近年普及しつつあるポータブル電源があれば、どこでも気軽に持ち運べ使用できます。」(田中)
施設運営業務上の、まさに「必要は発明の母」という状況からLED照明という未知の分野へ漕ぎだしたタカラの挑戦心は、防災用途というさらに新しい開拓地の発見へとつながっていきました。今後も『ストレートライト』『オムニLEDライト』のヴァリエーション商品など、新たな防災用照明器具の開発に取り組んでいきたい……との熱意にあふれています。
『ストレートライト』は7F【blue²@Tokushima LED∝藍】ショールーム内、『オムニLEDライト』は、4F特設会場で開催中の【OZONE館内ショールーム新作展示】にて展示中です。いずれの展示も2022年6月28日(火)まで。
ショールームよりメッセージ
日本は災害が多い国です。これからも災害は必ず起きます。そんな中で弊社の商品が少しでもお役に立てれば、という願いを持っております。そのために今後もスポーツ、防災に関する照明を開発してまいりたいと考えております。(タカラ株式会社東京営業所 田中弘一さん)
※2022年5月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。