設計・施工のプロフェッショナルを対象に、館内ショールームの製品をお試しいただける「モニター募集」のアイテムをご紹介します。
モニター募集の詳細はこちら(※募集は終了しています)
OZONE7Fの徳島県の伝統産業やLEDを中心とした最先端テクノロジーを紹介する「blue²@Tokushima LED∝藍」。今回モニター募集をするのは、アワガミファクトリーの阿波和紙「A-WALLベーシック」です。アワガミファクトリーの営業・販売推進担当の工藤多美子さんに製品の特徴を伺いました。
―― 「アワガミファクトリー」は阿波和紙ブランドの総称とお聞きしました。どういう体制を敷いているのでしょうか。
工藤阿波和紙の歴史は1300年前に遡り、徳島県吉野川市、那賀郡那賀町、三好市池田町で作られてきた和紙です。古い文献には、吉野川市に位置する高越山の麓に暮らしていた阿波忌部氏が楮や麻を栽培し、紙の製造を行なっていたこと、奈良時代には和紙を朝廷に献上していたという記録が残っています。和紙製造の最盛期の明治時代には、吉野川流域に500軒ほど、紙漉を生業にする家があったそうです。
その後時代の流れもあり、和紙製造が衰退していき、今はアワガミファクトリーの1社のみ残り、阿波和紙の伝統を守り続けています。母体となる富士製紙企業組合と、阿波手漉和紙商工業協同組合の3つの組織によって生み出される阿波和紙を「アワガミファクトリー」というブランドとして展開しています。
―― 主に、「アワガミファクトリー」がつくる阿波和紙の特徴を教えてください。
工藤昔ながらの「流し漉き」と「溜め漉き」の技法を使って、職人が一枚一枚丁寧に手作業で漉く「手漉き」と、「流し漉き」の手法を機械に置き換えて製造する「機械漉き」のふたつの阿波和紙があります。そして、これらを使ってステーショナリーや小物、クラフト用のパッケージなどの加工品製造のほか、出来上がった和紙の後染め加工を行っています。
―― 和紙の使用用途と言えば、便箋や封筒、葉書、水引、包装紙が思い浮かびますが、阿波和紙はインテリアの中ではどんな風に使われているのでしょうか。
工藤一般的には、障子紙や提灯のシェードによく使われているイメージがあるかと思います。私共は昔から機械漉きによる襖紙のOEM生産を行っていたのですが、和紙の新たな可能性を広く発信したいと、20年ほど前からインテリアにも使えるオリジナルの和紙づくりに力を入れてきました。そこで生まれたのが和紙壁紙「A-WALL」です。機械漉きでつくる「A-WALL」は裏打ちもしてあり、一般的なクロス貼りと同じように糊付けして壁面に貼って仕上げます。楮や稲藁、おが屑などの繊維の風合いを活かした壁紙なので、施工の際、表面に使うブラシや刷毛は柔らかいものを使うことをお勧めしますが、それ以外は普通の壁紙同様に簡単に施工できます。建築家や工務店からの注文が多く、住宅のほか、不燃・準不燃認定を受けているので和風の居酒屋やレストランなどで広くご使用いただいております。
―― 今回のモニター募集では「A-WALLベーシック」の6種類から最大30m分をご提供いただきます。6種類の特徴を教えてください。
工藤モニター募集の商品は、「A-WALLベーシック」の中でも特に人気が高い「楮」の2タイプ、「塵」の1タイプ、「玄」の2タイプ、「棕梠」の1タイプを用意しました。
「楮」は、和紙の主原料として最もポピュラーな楮を使用しています。繊維を少し長めに残した風合いが特徴で、ツヤがあり住宅で好んで使われているシリーズですね。6種類の中では一番ベーシックなタイプの和紙壁紙で、今回は白とグリーンの2色からお選びいただけるようにしました。「塵」は1タイプで、楮の表皮を使った和紙です。楮の収穫後に残る“黒皮”と呼ばれる表皮を混ぜた和紙で、グレーがかった色調はモダンなインテリア空間によく馴染みます。「玄」はおが屑や稲藁を混ぜて土壁調に仕上げたシリーズです。素朴なテクスチャーが魅力で、住宅の床の間などにアクセントとして使用したり、居酒屋の個室に使われることが多いですね。今回は白と赤(ベンガラ)の2色を用意しました。1タイプの「棕梠」は藁を5cmぐらいにカットしたものを使った和紙です。
「玄」よりもさらに土壁らしさを感じさせます。
――「楮」「塵」「玄」「棕梠」は、それぞれテクスチャーや陰影が異なり、それぞれ違った魅力がありますね。
工藤普段、お客様にはご要望に応じて、小さな尺角サンプルをお送りして確認していただくことも多いのですが、壁紙として使用する場合はやはり大きな面に貼った状態で風合いや照明が当たった時の雰囲気を見ていただけたらよりイメージがつきやすいと思います。 今回モニターの応募期間中は、OZONE7Fの「blue²@Tokushima LED∝藍」にて、6種類の壁紙を襖サイズに貼った大判サンプルを展示中です。他にも徳島県の伝統産業の藍染めと阿波和紙がコラボレーションした作品も多数展示しています。ぜひショールームにお越しいただいて阿波和紙の魅力を直に体感してほしいですね。
取材・文/梶原 博子
※2021年11月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。