リビングデザインセンターOZONEには建材、家具、住宅設備など住空間に関わる約30のショールームが集まっています。また、お客様一人ひとりに合わせた家づくりをご提案するサービス「OZONE家design」 では、経験と実績、デザイン力を備えた建築家を、住まいづくりのパートナーとしてご紹介しています。
「OZONE家design」登録建築家がOZONEのショールームの商材を実際に採用した物件をご紹介する本コラム。今回は、「マルホンショールーム MOKUZAI.com」の製品が採用された山梨県の戸建て住宅をご紹介します。
「マルホンの床材」の高い信頼性
―山梨県某市の戸建て住宅。設計を担当したのは株式会社ギルド・デザイン一級建築士事務所の磯村一司さん です。このほど竣工から1年が経ち、1年ぶりに物件を訪れて検査をしてきたばかりという、建物とご家族の生活がちょうど馴染んだ良いタイミングでお話しを伺うことができました。まずは、磯村さんとマルホンとの出会いについて教えてください。
磯村 最初はやはりOZONEのショールームだったと思います。同時に周りの建築家たちとの話の中でも、素材としてとても安定している、木目が美しいと評判でした。私は無垢のフローリング材を利用することが多いので、材の伸び縮みや反りが出ないことがとても重要なんです。そういう点ではもっとも信頼のおけるメーカーさんだと思っています。OZONEのマルホンさんのショールームは、実際に床を踏みしめて感触を確認できたりもするので、クライアントを連れてきて体験してもらうと、その場ですぐ決まってしまうようなこともよくあります。
―この物件において、クライアントが大切にされていた点はなんでしょうか?
磯村 プライバシーを守りつつ、なるべく光を取入れたいということで、敷地をコの字に使って中庭を取ることにこだわられていました。中庭のブリッジ状の木枠はヒノキの天然木、デッキ材も当初は木材を希望されていましたが、腐食の問題があるので最終的には人工木になっています。木枠には夏場の日除け用にタープをかけるためのフックを装備しています。手動でせり出すタイプの日除けもご紹介したんですが、その作業は自分でやりたいとのことでタープでの対応になっています。内壁は湿気を吸収・放出してくれるドイツ製の漆喰を使い、キッチンも耐水のバーチ合板を使って作るなど、中庭や外構、内装や設備の設計・製作はもちろん、家具のセレクションも、ある程度アドバイスをさせてもらっています。扉のレバーハンドルなども信頼できる老舗で直接握って確かめて選んでいますよ。出所のよくわからないレバーハンドルなどは、年数が経つとヘタって角度が落ちてきてしまうことがあったりしますので。
―この物件では、何がマルホンの床材を採用する決め手になったのでしょうか。
磯村 私たちとしても質の高い空間を提供したいという目標が先ずありました。また室内で犬を飼われるという前提条件もあったので、キズや汚れに対応できる床材である必要もありました。タイルやシートなども含めて、様々な床材をクライアントと一緒に検討した結果、多少キズがついても補修できる無垢材のフローリングが良いという話になっていきました。そうしたなかでクライアントが選ばれたのがクルミ材でした。クルミの無垢フローリング材を用意しているメーカーが、マルホンさん以外にはなかなか見当らなかったので、そこから自然に決まっていったような感じですね。
床材を天井にも使う!?
―今回はマルホンの床材を全室のフローリングに使用したそうですが、使い方や施工のポイントなどをお聞かせください。
磯村 使ってないのはトイレと納戸くらいですので、かなり贅沢な使い方だと思います。キッチンでも、ある程度汚れますよという前提をクライアントにご理解いただいた上で使用しています。先日、一年検査で確認をしたんですが、やはり飼い犬の爪によるキズはありましたね。それも、愛犬と暮らした日々を物語る思い出の痕跡として、ご家族は納得されていますけど。また、贅沢な使い方という点でいうと、床材と同じものを天井にも貼っています。
―なぜフローリング材を天井にも使用したのでしょうか?
磯村 私から提案しました。他の物件でもそうなんですが、内装に使う素材の数や種類を、やたらと増やしたくないんですよ。この物件の場合、多少リッチな印象にすることも大切だったので、床面の広がりが反転して天井にまで伸びているようなデザインにするため、床材と天井材を統一してあります。
寒暖差への万全の備え
―この地域は寒暖差の大きな土地柄だそうですが……
磯村 そうなんです。住宅全体で、かなりハイレベルな高気密・高断熱設計をしています。床暖房も入れたいところですが、電熱系・温水系の床暖房を入れると、温度変化による床材の反りや割れの心配があるので、クライアントが希望されたような無垢材のフローリングを使うのがかなり難しくなってきます。ですので今回は、水を入れたパックを蓄熱層にする「水蓄熱アクアレイヤー」という製品と床下エアコンを使いました。
この施工は夏季には蓄熱冷房になります。冷気が床下を流れ、循環型ファンとダクトで天井裏にあがり、天井から冷気が落ちてくるシステムです。また冬季に床を温める際、床の温度が高温にならないので、床暖房対応床材を使わなくても反りや割れなどの動きが生じにくいところがメリットの一つです。電熱系・温水系の床暖房だと、一時的に60度くらいまで温度が上がってしまうことがありますが、この方法だと冬場の床の温度が20度~24度程度なので、無垢材を使っても材が暴れにくいんです。とは言ってもやはり寒暖差の心配があるので、万全を期すため、先ほどお話したような信頼性の高いマルホンさんの無垢フローリング材を選ばせていただいたわけです。
マルホン
「クルミ 無垢フローリング 90mm巾」
日本のオニグルミとほぼ同種の東アジア産のクルミを使用。ブラックウォールナットと同じクルミ科ですが、やや柔らかく温かみのある材質で、素足で歩いてもヒヤッとしたストレスが少ないのが特徴です。ほんのり赤みのある材面とところどころ大きな節の入るナチュラルな表情が魅力的。明るい色合いも特徴で、仕上がりはブラックウォールナットとは全く違う印象に。素朴なクルミの風合いを一層引き立てる、オイル仕上げです。
・【品番】FKMR09-122
・【樹種】クルミ
・【塗装】Arbor植物オイル
・【厚み】15mm【巾】90mm【長さ】乱尺
・【入り平米数/ケース】1.62㎡
磯村 床下に温度センサーを付けていて、毎日の温度をモニターしていますが、大幅に温度が上下してしまうようなこともありませんでしたね。先日の一年検査でも、当初の想定どおり、材の暴れはまったくありませんでした。山梨県は省エネ基準地域区分が3地域から6地域まで混在しているなど、「夏は熱く、冬は寒い」のが特徴なので、温度環境の制御には繊細さが必要なんです。
―もちろんエネルギーをたくさん使えば温度環境の制御は可能。ですが、なるべくそうではない方法で快適な温度環境とクライアントの要望である無垢フローリングとを両立させる方法を模索し、解決に導いた磯村氏。その裏付けとして、マルホンの無垢フローリング材の信頼性が、大きな役割を果たしたことになります。
物件写真撮影/小川重雄
※2023年8月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。
OZONE家design 登録建築家 磯村 一司
株式会社 ギルド・デザイン 一級建築士事務所
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(※)OZONE家design 登録建築家とは
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