住宅関連の仕事に従事している方に向け、リビングセンターOZONE館内のショールームの製品を実際の設計・施工物件でお試しいただく「モニター企画」の施工事例をご紹介。
瀬尾製作所の製品である日本の伝統的な雨樋:鎖樋(くさりとい)【SEO RAIN CHAIN “竹”】は、2022年春に竣工した栃木県さくら市の個人住宅にモニター採用されました。
設計・施工を担当したのは地元企業の「株式会社けんちくや前長」。その代表取締役:前澤昌弘さんの自邸であり、けんちくや前長の住宅建築に関する考え方を盛り込んだ実験的モデルハウスでもあるこの家で、【SEO RAIN CHAIN “竹”】はどのように使われているのでしょうか。
【SEO RAIN CHAIN “竹”】の魅力について前澤さんにお話いただきました。
―今回、瀬尾製作所のモニター商品:鎖樋【SEO RAIN CHAIN “竹”】にご応募いただいたわけですが、なぜこの商品に注目されたのでしょうか。
前澤さん 檜の外壁が特徴的な南側の軒が大きく張り出しているので、やはり雨樋が必要でしたが、壁面に竪樋を這わせると、どうしても外観を邪魔してしまうので困っていました。屋根の面積が広いので、竪樋で受けるとしたら2本必要になってしまうんです。なにか良いアイデアはないかと探しているうちに、瀬尾製作所さんのウェブサイトでこの商品を見つけて、その格好良さに鳥肌が立ちました。鎖樋を水が伝い落ちていく動画を何回も見て、「これしかない!」と、いきなり瀬尾製作所さんに電話してしまったんですが、そこでリビングセンターOZONEでモニターを募集していることを伺い、即、応募しました。
いくつかの商品の中から選択できたんですが、迷わずこの“竹”を選びましたね。節のある竹を模したスタイリッシュなデザインが、強く和のテイストを感じさせてくれますし、銅の質感も実にモダンな印象を受けました。木をふんだんに使った和風の住宅でありながら、モダンな味わいにこだわった我が家には、“竹”がきっと一番似合うに違いないと思ったんです。軒先から地面までの距離がかなりあるこの家の環境では、鎖そのものが長く連続した棒状のように見えるタイプだと、ちょっとうるさくなってしまうかな……という判断もありました。
―実際に取り付けてみて、いかがでしたか?
前澤さん
実際に取り付けてみると、もうこの家に設置するためにデザインされたんじゃないかと思うくらい見事に似合っていましたね(笑)
特に檜材がルーバー状に重なっている南側の外壁と、破線状に真っ直ぐ天地をつなぐ鎖樋のデザインは、うまく溶け合っていると思います。素材は銅ですがキラキラ光るようなテクスチャーではなく、しかもしばらく使っているうちに色が枯れて、いい渋みも出てきました。瀬尾製作所さんには、地面との接点で鎖を押さえる純正の錘(おもり)の製品もあるんですが、それはあえて使用せず、先ほどお話した原っぱのような庭になじむよう、地元の河で採れる石を使った簡素な石組みで受けるような形に設えました。実際、大雨が降っても水をよく受け流してくれますし、よほどの大風でも吹かない限り、周囲に雨水を散らしたり、樋からあふれてしまうようなこともありません。樋の内径や流速をしっかり考えての設計なんだと思いますが、水の流れ落ち方がとても綺麗に見えますね。
縁側から見ても、リビングやダイニングから眺めても、庭の景色のアクセントとして目に入る。その流水音の風情も楽しい。
縁側から見ても、リビングやダイニングから眺めても、庭の景色のアクセントとして目に入る。その流水音の風情も楽しい。
―家と庭と鎖樋とのマッチングを十分に楽しまれているようですね。
前澤さん 雨の日に窓を開けると、なんとも言えない「シュ~~」という音を立てながら水が流れ落ちていくのが見えるし、聴こえるんですが、その風情が素晴らしいですね。不規則に揺らいでいるものをぼんやり眺めていると癒されると、よく言われていますけど、まさにそんな感覚で和むんです。水流を筒で隠してしまう竪樋では感じることができない楽しみ方ですよね。普通に考えれば「排水を隠す」のは当然ですけど、それをあえて見せて、逆に風景や音の演出に変えてしまうなんて、日本ならでは感性なんじゃないでしょうか。雨=憂鬱ではなく、「雨の日もいいもんだな」と思わせてくれる存在感があるんです。瀬尾製作所さんの鎖樋の導入を検討される方は、玄関とか家の裏手などに取り付けてしまうのはもったいないかもしれないですね。この風情をより楽しむためには、ぜひ家の中から眺めることができる場所、音を聴くことができる場所に設置することをお勧めしたいです。
左:施主であり、施工者でもある、株式会社けんちくや前長 代表取締役の前澤昌弘さん
右:株式会社けんちくや前長所属の設計士でもある豊島香折さん
撮影/大倉 英揮
今回のモニター募集では個人邸で鎖樋を導入されましたが、寺院や駅舎、オフィスビルなどの非住宅でのお問い合わせ・施工も増えています。
【施工例】淺沼組 名古屋支店
(設計・施工: 株式会社淺沼組、株式会社川島範久建築設計事務所)
ビルのリニューアルに伴い、特注ワイヤー使用の鎖樋 “筒” を採用。
各階の鎖樋の足元には植栽を配し、自然との共生が建物全体から感じられる施工となっています。
※2025年10月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合がございます。
【瀬尾製作所 公式サイト】
鎖樋(くさりとい)紹介サイト「SEO RAIN CHAIN」
「SEO RAIN CHAIN」と仏具「Sotto(ソット)」の2ブランドをご紹介する瀬尾製作所株式会社の公式サイト
【今回のモニター募集にご参加いただいた施主:前澤さんの施工会社】
株式会社けんちくや前長