熟練した職人技術で、日本から世界へ。

4FKitani東京ショールーム

蓬莱 誠司
テキスト:杉江あこ/撮影:根田拓也
2017.3.31

日本でブームになって久しい北欧の家具。未だに高い人気を誇るのは、洗練されていながら温かみのあるデザインだから。その北欧の名作家具をライセンス生産するのがキタニで、その家具を販売するのがキタニジャパンです。「Kitani東京ショールーム」の蓬莱誠司さんにお話を伺いました。

170309kitani_product01.jpg「キタニは元々、椅子張り工場として出発しました。家具作りにおいて椅子張りの技術は非常に難しいため、地元の岐阜県・飛騨高山のいくつかの家具メーカーの下請けとして機能していました。その後、約20年前に木工所を設立し、家具生産を始めました。その時にコントラクト家具のほか、着目したのが福祉家具だったのです」と蓬莱さんは説明します。

キタニが福祉家具に着目した背景には、1989年に策定された「高齢者保健福祉推進十カ年戦略(ゴールドプラン)」がありました。これにより全国的に介護基盤が整備され、特別養護老人ホームや老人保健施設などが増設。しかし、これらに見合った施設用家具が日本にはほとんど無く、北欧から輸入するしかありませんでした。そこでキタニは福祉家具を国産するため、デンマークへ視察に行きます。そこで出合ったのが、北欧の名作家具でした。

「デンマークの老人ホームでは、利用者が個室に自分で家具を持ち込んで暮らしているんです。中にはウェグナーの椅子などもあり、誰にとっても使い勝手の良い椅子なんだと実感しました。そこで当時の社長が、現地で中古家具を40フィート四方のコンテナでまとめて買い取ってきました。それらを自社で1つひとつ解体して、構造や資材の勉強を始めたんです」と蓬莱さん。

中古家具の中には、ハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンらの名作家具も混じっていたと言います。解体した後は、下張りを変え、木を磨き、塗装を塗り直すなどして、きれいに修理した状態で元に戻しました。そのうち修理した家具を「譲ってほしい」という声を聞くようになり、販売を開始。この活動の噂がデンマークにも届き、ヤコブ・ケアやフィン・ユール、イブ・コフォード・ラーセンらの遺族から、「家具を復刻させてほしい」という要望が寄せられました。こうして福祉家具を生産する一方で、ライセンス生産が始まったのです。

「いずれも1970〜80年代に廃業したメーカーの家具ばかりだったため、図面が無いものがほとんどで、自分たちで家具を見ながら新たに図面を引きました。基本的にデザインに忠実であれば、使用する資材は任されていますが、なるべく当時のままの資材を使うようにしています。中には馬毛などの天然素材も使われていて、長く使える家具にはそれなりの理由があると分かっているからです」と蓬莱さん。

現在、ライセンス契約を結んでいるデザイナーは6人で、全部で35アイテム。すべてアイテムごとの契約で、これらはキタニで生産して、世界へ輸出することもあると言います。「いずれも、椅子張りなど、キタニの技術が発揮できる家具を選んで契約を結んでいます。ライセンス生産のほか、現在は日本人デザイナーとの共同開発の家具やオリジナルデザインの家具も作っています。ただし、北欧から学んだ技術を応用して作っているので、自然と北欧テイストになっていますね」と蓬莱さん。

170309kitani_product02.jpgまた、家具生産以外の試みとして、ヴィルヘルム・ハンセン財団やデンマーク大使館などの協力の下、2012年に岐阜県高山市にフィン・ユールの自邸を再現。NPO法人を設立して建設と運営を行い、現在、有料で見学を受けつけています。「予約制ですが、来館者の方には2〜3時間ほどゆっくりと過ごしていただいています。椅子に座ったり、ものに触れたりできるほか、写真を撮ったり、お茶を召し上がっていただいたりしています」と蓬莱さん。

「世界に通用するものづくりをしたい」という強い信念で、北欧の家具を作り続けるキタニ。そんな確かな技術で作られた家具を見に、「Kitani東京ショールーム」に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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