イベント・セミナーレビュー

OZONE HOUSE MEETING 2017

パネルディスカッション

セッション写真 三浦氏顔写真 内山氏顔写真 池内氏顔写真 河野氏顔写真 竹内氏顔写真
第2部では三浦祐成氏がファシリテーターを務め、第1部に登壇した5氏によるリノベーションについてのパネルディスカッションが行われた。

まず三浦氏は内山氏のプレゼンテーションを受けて「リノベーションは住宅市場の全体の3%程だというデータに対して、市場が広がっている実感はあるか」と質問。内山氏は「リフォーム市場は7兆円から伸びていないのは事実。しかし、住宅の1次取得者が中古物件を購入してリノベーションする割合は増えている」と解説した。内山氏によれば中古戸建物件を購入してリノベーションするケースは少ないが中古マンションでの事例は確実に増えているという。リノベーション住宅推進協議会の会員は、中古物件を扱う不動産業者、買取再販業者が増加傾向にあり、ワンストップで仲介からリフォームも請け負うビジネスを展開している若いベンチャーが台頭の兆しを見せ、彼らを中心とした市場拡大が見込めると示唆した。

一方で、不動産業やリフォームの設計施工を行う工務店が増えているといい、三浦氏は、池田氏に工務店での中古物件やリノベーションのニーズについての実態を聞いた。「4年前にリノベーション事業『おかにわリフォーム工房』を設立した。現在は新築とリノベーションの工事割合は7:3だが、どこかでこれが逆転する時期がくるはずだと未来予測を立てている」と池田氏。また20代、30代の顧客は新築よりも古いものに価値を感じ、美化する傾向があること、さらに住まいヘの所有欲が低く、住み替えに対する考え方も柔軟だと分析する。若い顧客を持つ河野氏も「彼らは新築よりも古いものがいいという感覚を持つ人が多い。彼らはリノベーション=かっこいい、おしゃれというイメージを持っており、価格を安くかっこいいものが欲しいというニーズを感じる」と続けた。

三浦氏は竹内氏に建築家としてリノベーションに対してどう取り組んでいるかを問うと「リノベーションは地域にコミットする手段として、巻き込む人も多いけれど、そこから地域や人脈といった広がりが持てる」と回答。そして、リノベーションは条件が限られているだけに新築にはない面白さがあると続けた。これを受けて三浦氏は「次にリノベーションの意味やモチベーションの話をしてみたい。作り手の視点から言うとリノベーションは単純に面白い。そして可能性があることが伝わってきた。単価を自由に設定でき、ストックとして残しながら性能を上げていくことができる。非常に可能性を感じるビジネスに思われるが、リノベーションの市場規模が3%程度に収まっているのはなぜか」と疑問を投げかけた。これに対して「単純に儲からないと思われている。調査も含めて手間がかかるため、建築・住宅業界からリノベーションは面倒くさそうだというイメージを持たれている。しかし、これからはテクノロジーの積極活用などで儲かるビジネスになる可能性を秘めている」と内山氏は現状の分析と将来への展望を述べた。河野氏は「会社として持続する上では十分に儲かっている。ビジネスモデルとしては工務店と一緒。それに大きな付加価値として参加型リノベーションがついている。ワークショップは建設費用とは別に企画費として予算に組み込んでいる」と話す。具体的なコストの話は来場者の関心も高く、熱心にメモを取る姿がそこかしこで見受けられた。

三浦氏はここまでの意見を総括し、「皆さんのお話からも、妥協して買ったという消費をしたくないユーザーが増えているように感じる。自ら積極的に選択・参加したという足跡を残したいというか。今後は、リノベーションという言葉にピンときているリテラシーのあるユーザーは特に、新築でも中古でも、プラスアルファとして住まいに手を加えたい、つまりはカスタマイズ・DIYしてより家づくりに積極的に参加したいという欲求が高まるのでは」と分析。住まい手が手を加えることへの抵抗感はないかと竹内氏に問うと、「建築家を代表して答えるのは難しい」と前置きをした上で「自分が設計した空間に手を加えて欲しくないという建築家は少なからずいる。でもそれでは住まい手が不在になる。それよりも自分でカスタマイズして住みこなしてもらう方がいい」と語り、余地は多くあるべきだという持論を展開した。続けて池田氏は「この先職人不足は目に見えている。施主が自らの手でやってもらうことも重要。我々プロは耐震性能を診るといった専門性を生かしていきながら、住まい手にも家づくりに関わってもらうことで新しいビジネスモデルになる可能性がある」と話し、大工や職人不足への対策としてDIYが有効だという見解を示した。すでにこれに近いビジネスを展開する河野氏は、「実感としてDIYをやればやるほど職人の価値がわかる。DIYが広がることは職人の職能を上げることにつながる。今後は、DIYを安全に、正しい方法でできる人を増やす教育に力を入れたい。また、ゆくゆくは『水平な浮床を作る』『間仕切りを立てられる』といった基礎的な施工もできる設計者を育成することで、旧来の建築家像を更新する職業像を作って行きたい。」という展望を述べた。内山氏は「IoT活用でのオープンソース化によって職人と設計者のコミュニケーションしやすい仕組みづくりを行うことで、リノベーションの作り手をバックアップしたい」と続けた。ここでインターネットを活用したIoTに話題が移り、実際に現場をクラウド化している岡庭建設の事例を池田氏が紹介した。「社内はコミュニティクラウドを使用している。図面をクラウド上に上げていくことで、職人は現場にいながらスマートホン上で図面の確認ができる。簡単な電気図などはAND PADに上げている」と具体的な活用方法を披露。いつでもどこにいても図面が共有でき、確認できる点が業務の効率化につながっていると解説した。河野氏は、潜在顧客に対するPRの一環としてSNSを活用すると話す。ただし、単に完成した空間の竣工写真を見せるのではなく、参加型リノベーションの過程や作業する人の笑顔を積極的に掲載し、つくる楽しさや暮らす豊かさを伝えている。



「幸せとはご飯を食べることだと思っている。リノベーションを通じて作っていく過程が楽しいと豊かな気持ちになりほっとする。住んでみてご飯が美味しく感じられる。そういうことが価値になる。そんなシーンを自然に切り取ってSNSに上げることで共感が広がっている」と河野氏。これを受けて竹内氏は「断熱改修を経て幸せとは“あったかい”ことだと実感している。家が暖かいと家族の関係もうまくいく。建築家の仕事はこれまでビジュアライズされたところで披露されていた。けれども体感というのは意外と大事で、そこが積み重なっていくと幸せになる」と河野氏の意見へ賛同した。最後に池田氏は、「工務店は地域でファンを増やしていくことが大事で、日本中に認めてもらおうとは思っていない。目指すのは西東京市民のサポーター化。その一環として弊社では毎年200人の住まい手を交えた忘年会を行っている。今後もファン作りを大切にしていきたい」といいディスカッションを締めた。

今求められているリノベーションとは単に既存物件を綺麗に直すことではない。住まい手が家づくりに積極的に関わり、単なる「消費」だけではなく、「選択」や「体験」によって住まいを作り上げるという行為そのものに価値が見出され始めている。こうしたニーズに応えるために、プロに求められているのは、設計施工に留まらない不動産や金融も含む家づくりに関わる知識であり、横断的なサービスだ。住宅業界は他業界に比べて何周も遅れをとっているという指摘もあるが、だからこそイノベーションのチャンスがたくさん転がっているとも言える。住宅業界の慣習や既成概念にとらわれない自由な発想がリノベーションビジネスに光を当てていくことだろう。

建材見本市

同日にも開催していたリノベーション事例展で紹介した事例にも採用された建材、建築家・工務店・リフォーム会社へのアンケート結果などをベースに厳選した建材を紹介する見本市には、メーカー18社が出展。来場者が熱心に情報収集する姿が多数見受けられた。

リノベーション住宅事例展

11/2(木)~11/28(火)の期間、OZONE家designに登録する建築家・工務店・リフォーム会社57社による、リノベーション住宅事例をパネルと模型で紹介する事例展を開催した。戸建てからマンションまで様々な事例が並び、来場者の視線を集めた。

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