イベント・セミナーレビュー

OZONE HOUSE MEETING 2017

OZONE HOUSE MEETING 2017
豊かな住環境のために「住まいのプロの交流」を目指すイベントとして定着しつつある「OZONE HOUSE MEETING」。今年で3回目を迎えた2017年度のテーマは「リノベーション」。広義で捉えられている本テーマは「お客様にとっての価値を高める」「新築以上の価値を実現する」「新しい付加価値を生み出す大規模修繕」と定義し、セミナー、建材見本市、住宅事例パネルと模型の展示を行った。11月28日(火)に開催されたセミナーでは「未来住宅談義 新しい価値を創出するリノベーション」と題して、3Fのパークタワーホールに建築家、工務店、リノベーション会社、リノベーション有識者が一堂に会し、約130名の来場者の前でリノベーションに関わる上での考え方やビジネスのヒントを語るプレゼンテーション・パネルディスカッションを行った。また、ホール外のホワイエではリノベーションに最適な建築部材等を扱うメーカー18社による建材見本市も開催され、セミナーに訪れた来場者はカタログやサンプルを前に熱心に情報を集める姿がそこかしこで見られた。また、11月2日(木)011月28日(火)の期間には、3F OZONEウェルカムプラザと6F 特設会場でOZONE家designの登録事業者(建築家・工務店・リフォーム会社)によるリノベーション住宅事例展として写真や図面、模型を使ったパネル展示も開催。さまざまなコンテンツと展示を通して、リノベーションに対して理解を深める機会となった。

取材・文/阿部博子
撮影/大倉英揮

セミナー「未来住宅談義 新しい価値を創出する『リノベーション』」

2017年度は「リノベーション」をテーマに、リノベーション専門誌も発行し、業界への造詣が深い新建新聞社代表取締役社長の三浦祐成氏をファシリテーターに迎え、建築家の竹内昌義氏(みかんぐみ)、地域工務店代表として池田浩和氏(岡庭建設)、DIYで施主と共にリノベーションの仕組みを作り、参加型リノベーション会社を経営する河野直氏(つみき設計施工社)、今までリノベーションによる70棟2000戸供給してきた実績を持ち、現在はコンサルティング等を行う内山博文氏(u.company/リノベーション住宅推進協議会)が壇して、それぞれの活動内容に対するプレゼンテーションを行った。第2部では5氏によるパネルディスカッションへと移り、リノベーションに対する活発な意見が交わされた。
最初に登壇した三浦祐成氏は、リノベーション市場を取り巻く状況をいくつかのキーワードを軸として解説した。そのひとつが「人口減少」。住宅産業は、人口に左右されるビジネスであり、今後人口減少が進めば新築需要は15年で4割減となる野村総合研究所の試算をグラフで紹介した。また、30代男性の年収が20年間で約100万円下落しているデータを示し、人口減少によって増える空家を有効利用し、新築よりも安い中古住宅を購入してリノベーションして住むことへのシフトが進んでいくのではないかと示唆した。その解決策として「DIY、カスタマイズ」「シェアリング」をキーワードに挙げた。すでにアメリカで始まっているネット上で決済やカスタマイズが行えるリフォームビジネスや日本でもクラウドソーシングを活用することによって容易に起業できる土壌が育ちつつあることを紹介し、こうした動きが加速すれば、これまで起きにくかった建築業界でのイノベーションが起こせる可能性があると語った。
建築家の竹内昌義氏は「セルフエコリノベの可能性」と題して、自ら行っている断熱改修ワークショップの活動を紹介。パリ協定に基づく試算として、2030年までに新築住宅の50%をゼロエネルギーハウス(ZTH)にするという目標が掲げられている。つまり建築家もハウスメーカーも工務店もこれからはCO2削減40%を目標とし、電気もエアコンも今までの半分しか使えないことを前提に、家の燃費を考えた設計やデザインをしていかなければならない。そこで竹内氏が注目しているのが既存住宅の断熱化であり、山形県や岩手県で実現しているエコハウスを紹介した。断熱材をふんだんに使用したエコハウスでは、年間光熱費2700円程度で済み、さらに太陽光発電を用いながら、寒い地域でも24℃くらいで生活できるという。「断熱は工務店が行うと費用がかかるが、住み手が材料を買い、参加者を募ってワークショップを行うと簡単に家を断熱して暖かくすることができる」と話す。断熱や温かさは目に見えないが、だからこそ体感した時に皆驚くといい、その有効性を強く訴えた。
西東京エリアを中心に家づくりを行う地域工務店の岡庭建設。同社の池田浩和氏は自然材料や木材を使った「木ノベーション」というリノベーション事業を中心に自社の取り組みを解説した。工務店として同社が力を入れているのが、断熱や耐震などの住宅性能の担保だ。同社では新築基準でグラスウール、セルロースファイバーを壁に100ミリ、床に100ミリ、屋根、天井にはフェノール系90ミリを用いている。これは長期優良住宅の登記が取れるレベルだといい、予算に応じてリノベーションにも同等の性能を担保している。また、地震大国の日本では、繰り返し出会う地震に対応した耐震性能が高い住宅を建てるべきだと話す。そもそも耐震性能が高い住宅を立てれば仮設住宅は必要ない。地震によって起きうることを想定しながらリノベーションすることが大切だと語った。
河野直氏が率いる「つみき設計施工社」は、「ともにつくる」を合言葉に参加型リノベーションを行う工務店である。現在は千葉県市川市を中心にワークショップ形式でセルフビルドやコミュニティビルドによってリノベーションする仕組みを提案している。「大変なこともみんなでやる」「プロがやっていたことを細分化してわかりやすくしてみんなでやる」といったように家づくりをわかりやすくし、一般の人の参加へのハードルを下げることでDIYやセルフビルドによるリノベーションの楽しさを伝える。参加型リノベーション、DIYワークショップを通して河野氏が実感したのは、プロの施工技術の高さや、作った後もその場所に対して地域の人が愛着心を持てる点で、店舗の場合はオープン前からファンを作ることにつながる利点があるという。いかにして一般の人と楽しく学びを得ながらワークショップをやるのか。その過程にこそ、新しいリノベーションビジネスのヒントが詰まっているように感じた。
最後に登壇したのは、u.company代表、リノベーション住宅推進協議会会長の内山博文氏である。リノベーションという手法を通して「こんな暮らしが形になったらいいな」というニーズを形にし、エンドユーザーに近い立ち位置にいたことが成功の秘訣だと分析する。その上で「住宅業界は常識や慣習に縛られている。これまでの常識を疑わないとリノベーションをビジネスに転換できない。マーケティングの前提条件を取り払うもしくは変えることでイノベーションを起こさないと数年後に仕事がなくなってしまう」と問題提起した。その解決策として、従来のプロダクトアウトではなく、ユーザー視点のマーケットアウトへとビジネスをシフトすべきであり、人口減少や空家問題などの現状を見据えてどう未来を予測していくのかが、生き残りの鍵だと指摘。「今こそこれらを包括的にマネジメントできる建築プロデューサーとしての視点が必要」だとプレゼンテーションを締めくくった。

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