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2020年2/14(金)クローズ

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東京都新宿区西新宿3-7-1新宿パークタワー内
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島崎信コラム「実にいい、暮らしの道具 」vol.6 一机多用(いっきたよう)

Column

北欧デザイン研究の第一人者であり、生活デザインの提唱者と幅広く知られる島崎 信(しまざき まこと)先生。 その島崎信先生が、地に足をつけた暮らしをつくる「実にいい、暮らしの道具」の数々を紹介します。 毎回テーマを決め、コラム形式でお届けします。
第6回のテーマは「一机多用(いっきたよう)」です。

― 一机多用 / 一椅多用とは?
shimazaki06_01.jpg 暮らしのかたちでは、6/18(火)まで展示イベント低座の快適な暮らし -秋岡芳夫の一机多用について-を開催中です。
「一机多用」とは、工業デザイナーの秋岡芳夫さんが提唱した快適な暮らしのためのヒントです。 文字通り、ひとつのテーブルを食事だけでなく、アイロンやお裁縫などの家事に使ったり、 本や新聞を読んだりする寛ぎにも活用してしまおうという考え方です。昔のちゃぶ台のようなものですね。

同じように「一椅多用」と文字を変えて、ひとつの椅子を多用に使おうという考え方もあるんですよ。 通常、椅子というのは用途が決まっています。例えばオフィスで使う事務椅子だったり、 図書館の椅子、ホテルのラウンジの椅子などは目的がはっきりしていて、その用途や姿勢に ぴったり合った座り心地が追求されています。
一方で、家庭で使う椅子には機能の幅が必要です。暮らしの中で、人はとても多様で曖昧な動きをするので、 色々な用途に転用できる幅を持った椅子が求められます。とりわけダイニングでは休息もとれて、 作業や食事もできる多能な椅子が好ましいですよね。

shimazaki06_02.jpg こういった視点からおすすめしたいのが、豊口克平さんがデザインした「トヨさんの椅子」 です。
ゆったりと広い座では正座をしたりあぐらをかくこともでき、大きめの背面はしっかりと腰をささえてくれるので 長い時間座っていても疲れません。
(撮影:加藤晋平)
詳細はこちら

shimazaki06_03.jpg そして秋岡さんがデザインした「あぐらのかける男の椅子」もおすすめですね。
もちろん名前のとおり、椅子の上であぐらをかくこともでき、好きな姿勢でリラックスして座ることもできます。 さらに椅子から立つときに、アームがその動作を助けてくれるんです。
(撮影:加藤晋平)
詳細はこちら

どちらもロータイプのテーブルを合わせれば、安楽椅子としても食事用の椅子としても使用できる優れものです。 日本人の体型や生活様式について経験と知識を持っているデザイナーの豊口さんと秋岡さんが、 日本人の暮らしに合う家具を突き詰めて、本当に良く考えられた椅子だと思います。

― 最適なテーブルの高さと椅子の関係は?
shimazaki06_04.jpg いま、販売されているダイニングセットは、テーブルの高さが700mm前後、 それに合わせる椅子の座面の高さが430mm前後というのが主流じゃないでしょうか。
ただね、靴を脱ぐ習慣、日本人の体格、襖や障子はいまだに1間(1800mm)というモジュールで つくられている日本家屋の空間を考えると、もっと低めの方が落ち着くんです。

秋岡さんは、自身の著書でテーブルの高さは610mm、椅子の高さは370mm程度ぐらいが適当だと語っています。 もちろん体形によって差はありますが、こうした低めの設えをすることで部屋が広く見えるというメリットもあります。
さらに、テーブルと椅子の高さのバランスも大切です。 座ったときにテーブルが低い位置にくるように、テーブルと椅子の高さの差(差尺といいます)を小さくすることで、 ご飯を食べたり、新聞を読んだり、といった動作を楽にしてくれます。

shimazaki06_05.jpg また、日本の食文化は多様ですが、ごはんとお味噌汁を中心とした日本食が食卓に上ることも多いのではないでしょうか。
お椀とお箸で食事をする際には、低いテーブルのほうが使いやすいのです。日本食は汁気が多いですよね。 お味噌汁、煮物、おひたし、どれも深い器に盛られ、お箸でちぎりながら食べるように調理されています。 そんな時、高いテーブルではなんとも食事がしにくいものです。 家族みんなでお鍋をつつくときも、高いテーブルでは、いちいち立ち上がらないと鍋の中身が見えませんよね。

― 現代の暮らしにあった一机多用
shimazaki06_06.jpg 高度成長期以降、次々につくられた団地には、西洋式の間取りが取り入れられ、リビング、ダイニングと、 用途ごとに空間が区切られました。
ところがここ最近のリノベーションブームで、それらの空間が一室に集約される動きもあり、 それに伴って、各メーカーからリビングとダイニングを兼用できるテーブルセットが販売されるようになりました。 中には、ソファやベンチを合わせたタイプなども登場しています。
小さなお子様がいらっしゃる場合や、来客が多いお宅は、こうした人数の変化に対応できるベンチタイプなども良いでしょう。 こうした変化に富んでいて多様な生活に対応できるのも一机多用な家具の良いところですね。

西洋文化が流入し、それまでのちゃぶ台の暮らしが一変、急速にテーブルと椅子のダイニングセットが普及しました。 しかしながら、食事の後、食器を下げてお茶を飲み、家族団らんもある一方で、裁縫をしたり、手紙を書いたりといった茶の間の暮らしは、 日本人の体質に合った文化です。
すなわち、一机多用とは一室多用な暮らし方でもあります。 西洋文化の良いところを取り入れつつも、限られた空間を有効に利用できる一机多用の家具を、皆さんの暮らしにも取り入れてみてはいかがでしょうか。

※コラム中の画像はイメージです。
過去のコラム一覧はこちら
「低座の快適な暮らし −秋岡芳夫の「一机多用(いっきたよう)」にならって−」
開催期間:2019年4/25(木)〜6/18(火)※水曜定休 および5/21(火)臨時休業

※展示・企画内容は変更になる場合がございます。
※商品の在庫や販売方法につきましては、暮らしのかたちへお問合せください。
イベントの詳細はこちら
島崎 信(Makoto Shimazaki)
makoto shimazaki.jpg
武蔵野美術大学名誉教授。1956年東京藝術大学美術学部卒業。1959年デンマーク王立芸術アカデミー建築科修了。 王立芸術アカデミーのオーレ・ヴァンシャー教授のもとで研究員として家具デザインを学び、 ハンス・J・ウェグナー、フィン・ユール、ボーエ・モーエンセン、ポール・ケアホルムらデンマークのデザイナーたちと交流。 北欧デザイン研究の第一人者であり、生活デザインの提唱者として国内外でインテリア、プロダクトデザインに関わるほか、 家具・インテリアデザインの展覧会やセミナーの企画も多数手掛ける。

2019/05/20 更新

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