のびやかでいながら機能的。質感も魅力のスキップフロア住宅 〜OZONE家designの事例から〜

最上層に日当たりの良い和室があり、階段室を介してLDKに光が運ばれます。キッチンの脇には、奥さま愛用のPC用カウンターデスクが。
- 神奈川県・川崎市
- 家族構成:夫38歳 妻40歳 長男17歳 次男10歳(取材当時)
- 竣工:2019年8月
光や眺めを享受しつつ
プライバシーも重視
M邸が建つのは、緑豊かな公園に近い住宅地の一角。ご夫妻は家づくりにあたって、明るく家事動線に優れ、鉄や木、モルタルといった素材を生かすなど、様々な要望を抱いたと言います。
「以前はマンションの8階に住んでいたので、戸建ての新居では、採光や眺めを取り入れつつ、外からの視線を避けられたらとも願いました」とご夫妻。
敷地は南道路に面して採光に恵まれますが、人の通行も少なくありません。建築家の三鴨泉さんは、家族がのびのびと暮らせるためにLDKを2階に配置。また各所に光が届きやすいよう、階段室を挟んで建物を南北2つのブロックに分け、半層ずつずらしたスキップフロア構成に。こうしてすみずみまで光と風が行き渡る家が実現しました。「キッチンの数段下には息子たちの部屋が。家族が顔を合わせやすく、出入りの気配が伝わりやすいのも、スキップフロアの利点かなと思います」(奥さま)。
奥へ、上へと誘う
もてなしの広々エントランス
LDKは、木製サッシと無垢材を張った床や天井、左官仕上げの壁などが温もりを醸し、パントリーやPCカウンターを備えるなど、機能性も充実。
また1階の玄関内部には、建物の端まで一気に突き抜けたモルタル仕上げの土間と無垢材張りの広いホールが。この空間にアクセントを効かせるのが黒い鉄骨のスケルトン階段。ホールの開口や上層から注ぐ光が踏み板を通過して階段空間をやさしく包み、来る人を奥へ上へと誘ってくれるようです。
「玄関ホールは開放感いっぱいで、仕事から帰ってきたときのやすらぎが違いますね」とご主人は話します。
ユーティリティを集約して
動線をコンパクトに
1階ホールの間仕切りの奥には、水回りと家族全員の衣類を収めたウオークインクロゼットが。ユーティリティを集約して効率がよく、特に室内干しを意識した広い洗面室は奥さまのお気に入りとのこと。
「計画から竣工まで時間はかかりましたが、かなり満足度の高い家が完成しました。素材にもこだわり、木場の製材所や地方の建材メーカーに足を運んだのもいい思い出です」と笑顔で振り返るご夫妻です。

片流れ屋根を生かして南側に大開口を設け、光がよく入るLDK。天井のレッドシダー材が内外をつないで、空間をより広く演出します。

階段下を突き抜け、贅沢な広々空間を実現したエントランス。鉄骨の階段は木材を張って温かみを添えています。

前面道路からの外観。グレーの左官材は粒を少なくした特注品で、モルタルのような仕上がり。マットな質感に、レッドシダーの木の表情がマッチしています。

階段室とバルコニーが接する壁にも窓がつけられ、十分な採光が得られます。

強い要望だったモルタルの床。L字型のレイアウトで、人の出入りも荷物の出し入れもしやすそう。

玄関ホールの奥に水回りを集約。ワイドな洗面台の反対側には、頑丈なバーを渡した本格的な室内干しコーナーが。壁は湿気に強いクロスを採用しています。

1階に設けた主寝室。勤務のシフトで夜勤も多いご主人が昼間よく休めるよう、木製建具の採用で光をシャットアウトできる工夫。

床下収納の上に位置する子ども室。高校生のご長男の部屋は、自ら色やデザインを考えたそうです。

最上層の和室からとらえたLDK。階段はLDKとガラスで仕切られ、一体感を醸します。「息子たちはよく階段に腰掛けて、リビングの会話に参加します(笑)」と奥さま。

キッチンの奥にパントリーを設置。タイル貼りの壁で仕切られ、大容量ながら存在が控えめ。

キッチンから見たLD。壁は左官仕上げで、一面を薄いブルーにしてアクセントをプラス。天井下の間接照明がシンプルな空間によく映えます。

和室は建具の開閉で、外部の光をLDKに届けるのも個室化も自在。床から浮かせた収納部が軽快な雰囲気を創出。
家づくりカレンダー
- 2016年 夏
-
家づくりの計画スタート
そろそろ持ち家をと、最初ハウスメーカーへの依頼を検討。「建築家への方向変換は、テレビの『建もの探訪』を見たのがきっかけ(笑)。家づくりにあたり、がぜんイメージが膨らみました」とご夫妻。
- 2016年10月
-
OZONEで建築家の紹介を受ける
ウェブで見つけたOZONEを訪問。建築家の作品ファイルを多数見て検討し、須藤一栄・三鴨泉建築研究所に絞り込む。「決め手となったのは、広い土間のある家のテイストでした」(奥さま)。早速、面談を行い、設計を依頼。だがまだ土地は入手していなかった。
- 2018年 初秋
-
現在の土地に出会い、無事購入!
M邸のエリアは人気が高く、なかなか購入にいたらず…。だが、待ったかいがあって好立地の敷地に出会い、無事購入。「ほぼ決めた時点で土地を三鴨さんに見てもらい、建物のボリュームなどを把握できました」(ご主人)。
- 2018年10月
-
プランが決まり、設計開始
プランを検討し、2階建てスキップフロアの建物で設計が進められる。この頃、約1年後に夫の単身による海外赴任の出発が決まり、以降、急ピッチで進行することに。
- 2019年2月
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地鎮祭~待望の着工へ
地鎮祭を経て着工。「ギュギュっと詰めた工期になり、しかも木製サッシの納入が遅れるなど事件もあり、冷汗が出ました(笑)」と三鴨さん。
- 2019年8月
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ようやくわが家が完成!
計画から約3年かかり、ようやく竣工を迎える。DIY好きのご主人は、ご長男と外構に砂利や枕木を敷く作業を楽しんだそう。「帰国後にはバルコニーのデッキ張りに挑戦します!」とご主人。
コンサルタントからのコメント
スキップフロア構成で空間が緩やかにつながり、南北に長い建物のすみずみまで光を届けられたM邸。段差で各部屋をつなげるため廊下をつくらずにすみ、その分床面積を確保できたのも利点でした。M邸の建築家は、OZONEからの初の紹介案件。施主様はおすすめの建築家の作品ファイルを多数見た中で、その素材使いや建物のテイストに一目惚れされたとか。幸せな出会いをご提供でき、うれしく思います。DATA
敷地面積 | 112.63m2(34.13坪) |
---|---|
延床面積 | 111.29m2(33.72坪) |
構造 | SE構法 |
竣工 | 2019年9月 |
設計 | 須藤一栄・三鴨泉建築研究所 |
---|---|
施工 | 伊藤工務店 |
撮影 | 大槻茂 |
テキスト | 田中敦子 |
敷地面積 | 112.63m2(34.13坪) |
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延床面積 | 111.29m2(33.72坪) |
構造 | SE構法 |
竣工 | 2019年9月 |
設計 | 須藤一栄・三鴨泉建築研究所 |
施工 | 伊藤工務店 |
撮影 | 大槻茂 |
テキスト | 田中敦子 |
OZONE家designとは
OZONE住まいづくりコンサルタントが、お客様の叶えたい暮らし、想い描く住まいのよき理解者として、最適な家づくりのプロセスをご提案します。様々な知識が必要な家づくりにおいて、設計者や施工者のペースで進められがちなコミュニケーションもしっかりフォロー。お客様が主役となる、納得感と満足感のある「家」を実現します。


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