土鍋

暮らしのかたち 森口潔
東京新聞 生活面「住まい 彩り」 2017年11月11日より

?イ莠???<?ゃ??_w360.jpgいよいよ本格的な鍋の季節がやってきた。 忙しい現代生活でも調理しやすく、アレンジも楽しめるため、ますます人気のようだ。食材選びの楽しさとは別に、鍋そのものでも味わに違いが出てくる。


土鍋は、江戸時代から伊賀(今の三重県西部)の土、伊賀の釉薬、伊賀の職人の手によるものが最上級とされる。もともと伊賀の土は、琵琶湖の湖底が隆起したもの。プランクトンなどを多く含む土は焼成時にその部分が燃えて無くなるので、孔の多い鍋になる。これが圧倒的な保温性につながっていて、じっくりと加熱し、芯まで火の入った食材を「どうぞ」とばかりに提供してくれる。


土鍋を上手に使うためには、昔ながらのルールがある。まず、使い始めには「目止め」といって、お粥を炊くことで、煮汁やにおいが染み込むのを防ぐ。


また、割れを防ぐために急激な温度変化を避ける必要があり、底が濡れた状態で火にかけたり、使用後すぐに冷やしたりしないように注意したい。少々手間はかかるが、その分美味しさで応えてくれる。季節が終わった後には、充分に乾燥させてからしまうことも長く付き合うコツだ。


?イ莠???泣??_w360.jpg近年は、炊飯用の土鍋が増えている。米が充分対流しやすいように深型になっていて、鍋の縁も少し高めにして吹きこぼれを防ぐものが多いようだ。


土の味わいや素朴な風貌は、その場の空気を穏やかにしてくれる。機能的で理にかなったフォルムは現代のダイニングにも馴染む。


土鍋を使ってご飯を炊いたり、だるまストーブでトーストを焼いたり、食材本来の「うまみ」を引き出し、美味しさを堪能するために、調理の時間や工程も楽しめる先人の知恵や道具にならってみるのもひとつの方法だ。懐古主義と言わず、ちょっとした日常の贅沢を五感で味わいたい。

※画像

上:ぽってりとしたフォルムと黒雨の色味が味わい深い布袋(ほてい)鍋 (「暮らしのかたち」提供)

下:伊賀土の浅鍋と木曽さわらの木ぶたは湯豆腐や煮込み料理に最適(「暮らしのかたち」提供)

暮らしのかたち

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