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メイン会場の企画展示「“飛騨の家具”の歴史展」では、創業90年を迎えた飛騨産業がこれまでにつくってきた家具から、地域の家具づくりの歴史を紐解いて見せた。

柏木工が同社の人気商品「ウイルダネス」の発売25周年を記念する販売キャンペーンで、プレゼント用に製作した1/2サイズのミニチュアモデル。材料も塗装も実物と同じだ。「ウイルダネス」は輸出から内需に切り替えた際に販売を始めた第1弾の家具だという。

日進木工のダイニング家具。伸長式テーブルの薄い天板はアルミを使って実現。 背から座にかけてが一体の曲線を描く椅子は、高山の生活技術研究所、早稲田大学野呂名誉教授、高山の家具メーカー6社の共同研究の成果を利用して誕生した。
2010年9月1日(水)〜5日(日)に岐阜県高山市で開催された「飛騨・高山 暮らしと家具の祭典」を訪れた。先般、旭川家具産地展の模様をレポートしたが、高山は旭川と並ぶわが国有数の家具産地である。
ブナの原生林に囲まれた高山で、洋家具づくりが本格的に始まったのは1920年。中央木工株式会社(現・飛騨産業)の創立が起源となった。当時、活用方法が見いだせず放置されていたブナ材を活用し、曲木の家具をつくれないか、というところから出発したという。
今年はそんなわけで、飛騨産業は創業90年。市内の家具製造業者で構成する飛騨木工連合会も創立60周年にあたり、メイン会場の「飛騨・世界生活文化センター」では、飛騨産業の歴史を振り返りつつこの地域の家具づくりの沿革を見せる展示もあった。また、シラカワも創業50周年、柏木工のロングセラー「ウイルダネス」は発売25周年と、他社にとっても節目の年で、会場やショールームではそれらをアピールする展示が見られた。新作だけでなく、各社が長く手塩にかけて製造・販売を続ける商品にも改めて目を向ける機会になっただろう。
高山では昭和初期から家具の海外輸出が盛んだったが、現在再び中国やロシアの市場に向けた輸出を進めている。各社が独自に働きかけるとともに、木工連合会としての取り組みもあるという。高山はメーカー同士の仲が良く、家具づくりの技術を共同開発することもある。そうした“ライバルであり友でもある”関係が、産地としての発展を支えているという声も聞いた。
さて、家具展の目玉となるのはやはり新作家具だ。メイン会場にも展示はあるが、各社ショールームでの量には及ばない。ここではメイン会場と併せて、飛騨産業、柏木工、日進木工、キタニのショールームに足を運んだなかから、注目の家具や目を引いた展示を紹介する。
■飛騨産業

飛騨産業は創業90年を記念して、1960年代の人気商品「EIGER(アイガー)」を復刻。90年記念キャンペーン第1弾として、これまでに同社の家具を購入した客に修理の呼びかけを行ったところ、この商品が多かったことがきっかけになった。

高度な曲木の技術を駆使し、椅子の背、足、アームに連続性をもたせた美しい造形で人気を博した。発表当時はリビング3点セットでの販売が中心だったが、この復刻版ではダイニング向けに改良。ブナ材をナラ材に、椅子やテーブルを2.5cm高くといった変更も加えた。

国産杉の圧縮材を使った家具に、川上元美さんデザインの「crypto(クリプト)」シリーズが登場。テーブルの天板は写真の木口集成材を用いたタイプと幅接着タイプの2種がある。杉材は30%(椅子)〜50%(テーブル)の圧縮をかけて、木肌や優しい風合いを活かしつつ強度を出している。

強度を保ちながら緩やかに曲線を描くダイニングチェアの背。背板の欠き取りは、腕の動作を妨げないための工夫だ。同社は新しく設立された非営利型の社団法人「グリーン・リンケージ・イノベーション(GLI)」と提携し、国産材の需要拡大による森林整備活動を推進していくという。

節のある木材を使う「森のことば」も、“森林資源を大切に使っていこう”という同社の気概を表すシリーズだ。昨年発表した「森のことば ibuki」は曲線を活かした有機的なフォルムが特徴で、今年はダイニングテーブルに長方形タイプが加わった。

ナラ材の1本曲木のアームに同社の技術力を感じる新シリーズ「azami(アザミ)」。椅子の座はダイメトロール張りで、貫のないすっきりとした構造だ。ダイニング家具のほか、リビング家具もそろう。

五十嵐久枝さんがデザインした「baguette life」にはベンチが加わった。ベンチや椅子の座板、テーブルの天板には端材の集成材を利用している。きれいなグラデーションを見せるには手間がかかるが、資源の有効活用とデザインを結び付けている。

飛騨産業は今年から、これまでクラレインテリアが製造販売してきた「北海道民芸家具」のブランドと生産工場を引き継いだ。それに伴い、バーナード・リーチがデザインしたテーブルなどをシリーズに追加。同社も往時の民芸運動に関わりがあることが縁になったという。
■柏木工

柏木工の新作ひとつめは、その名も「OYAJI」という写真の1人掛。コンパクトながら座面の上であぐらをかけるなど、ほど良いゆったり感が特徴だ。リビングでも寝室でも、部屋を問わずに合わせやすいデザイン。

独り暮らしの女性に向けたという「Ne Chair」。この1脚で食事もくつろぐのも対応できる。

こちらも新作の「悠」は、都会のマンションのように限られた室内でもゆったりと暮らせる“ソファダイニング”を提案する家具。いわゆるLD家具はダイニングにくつろぎの機能を加えたものだが、これはソファにダイニングの機能をもたせている。

柏木工はベーシックなスタイルの家具の使い勝手も見直そうと、この「Club」を発表。ダイニングテーブルの高さは650cmで、椅子のクッションも厚めなので、年配の人も食事の後、ゆったりと過ごすことができる。椅子の前脚には飾り加工が施してある。

柏木工は10年前から家具だけでなく室内ドアの製造をはじめ、いまでは工場で生産する商品の半分をドアが占める。これまでは建材メーカーのOEMとして製造してきたが、今年からは自社ブランドのドアも販売していくという。

昨秋発表した木製タイルパネル「MOSAIC(モザイク)」は、家具づくりで生じる端材を利用したもの。オークとウォルナットから選べ、基本の高さは425mm、厚みは最大16mm、幅は2250mmまでは1枚で、それ以上は相決り加工で連結する。


