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LIVING design [暮らしにもっとデザインを]

1月10日発行 500円
リビングデザイン 2008.Winter/vol.54

Home is Life, Life is Home!

記憶を刻む家づくり

今の自分は、過去の自分が選んだものでできている−−
それを実感できるものこそ、家ではないでしょうか。
家とは、ひとつの記憶装置です。
家にあるモノ一つ一つには、手に入れたときの思い出やつくった人の思いなど、マテリアルに付着する見えない記憶が刻みこまれています。モノが記憶を呼び起こし、さらに別の記憶に連なっていく。そんな記憶の集積が、時に心地よく、時に哀しく、自らの人生を歩んでいることを実感させてくれるのではないでしょうか?
記憶は、お金では買えません。盗むこともできません。だからこそ、記憶が刻まれたものは、唯一無二のものなのです。
今回LIVING DESIGNでは、記憶をテーマに住まいづくりを考えてみました。あなたにとって、大切な記憶、心地よい記憶とは何ですか?
そんなことを自問しながら、数々の記憶の家のストーリーを楽しんでください。

特集

  • 本当の「家」の話をしよう

  • ・プーライエ 終わりのない巣づくり 鮫井邸
    ・折衷の心地よさ 記憶の中の「英国」が生む住まい 吉谷邸
    ・スターネット 10年目の冬支度 土地の記憶、材の記憶、人の記憶、家になる

    対談 吉谷博光×馬場浩史 モノ好きから、空間愛へ

  • CLUB OZONE会員手記

  • 茂木健一郎インタビュー 人生の佇まい、記憶の居住まい
     小林秀雄邸「山の上の家」にて

  • 沼津 街をつくる“家トモ”の輪

  • 上海「老房子」に暮らす

  • コラム「まちの記憶としての住まい」

  • ムッシュ・フジタ追想 手しごとが紡ぐ終の住処

  • ハーフセルフビルド的住宅
     福島加津也/内山智行/芦沢啓治

  • WALL DECORATION 壁からはじめる記憶の家づくり

  • 記憶を刻む家をDIYで


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連載

  • Design Now1 「サスティナブル・リビング」をデザインするエコビレッジに住まうという選択

  • Design Now2 飛騨産業のヤナギチェアが完成!

  • Design Now3 インテリア×ファッション デザインの越境はまだまだこれから

  • Design Information

  • 新連載! 住み癖+「誰かを想う」 文:木皿 泉 料理:高山なおみ

CLUB OZONE

エディターズ ボイス

ひょんなことからインテリア担当になり、編集者として住宅と関わるようになって早十数年。有名建築家や若手建築家が設計した家ももちろん見てきたのですが、設計した人の有名無名にかかわらず、面白い家、心地よい家というのは、結局は施主しだいだよなー、と私は思っています。家はとても正直なもので、その人そのものを表してくれる鏡のよう。モノは見えているほうが好きな人、きちんと片付いていないと嫌な人、掃除好き、料理好き、過去のインテリア遍歴、好きな色、家族のパワーバランス、食後の風景、熟考するタイプ、堪え性がない、などなど。

今回インタビューした脳科学者の茂木健一郎さんも言っていましたが、「その人の思想は、かならず形になって現れる」と。思想なんていうと、小林秀雄(今回邸宅を取材しています)など歴史に名を残すような人たちばかりを考えてしまいそうですが、市井の人、私たちにだって十分当てはまることのように思います。そう、思いは家に刻まれるのです。取材で吉谷夫妻のご自宅にうかがったとき、かわいいクッションを見つけました。いろいろな布の端切れを市松に合わせて縫ったクッションカバー。これは、着られなくなった洋服を使って作ったものだそうで、パーツのひとつひとつに「これはあの時着ていた服」「この服好きだったな」など、桂子さんの思い出が刻み込まれています。よく見ると桂子さんのKとご主人博光さんHのイニシアルも見て取れます。もの選びへの確かな目(いい素材の布ばかり!)、根気のよさ、たくさんの経験、そして家族への深い愛情……。ここには、新品にはない、豊かな情報がぎっしりと詰まっています。この数値化できない情報の量こそ、いい家、心地よい家の条件だと、住宅を見てきたものとしては、つくづく思うのです。

今回のLIVING DESIGNは、そんな目に見えない記憶と家について考えてみました。家に刻まれている時間や記憶は、お金で計ることはできません。スペック記載したところで、まったく意味を成しません。でも、その価値がいかに大きいことなのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。家が、街が、日本が、世界が、ちょっと違って見えてくるかもしれません。(LIVING DESIGN編集長 岡崎エミ)

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